Google アナリティクスを用いた純広告の運用PDCA

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2015年10月06日 

数あるインターネット広告の施策の中で、新規ユーザー獲得やユーザーへのブランド・サービス認知拡大に有効な施策の1つが、純広告である。純広告はIMP(インプレッション)が保障されるので一定の露出効果は約束されており、掲載が確約されている。ブランド認知拡大が広告出稿の主たる目的になるので、純広告はCV(コンバージョン)を目的としないケースが多い。そのような純広告の効果測定の方法や指標の取り方にお困りの代理店や企業のプロモーション・マーケティング担当者も少なくないだろう。

このコラムでは、媒体(メディア)出稿後のレポートをクライアントに報告するだけになっている代理店の方や、純広告を実施し続けているものの、その広告効果の判断にお困りの広告主の方を対象に、新たなブランド認知獲得の評価軸としてGoogle アナリティクスを用いた分析指標によるPDCAを提案するものである。

純広告の成果測定に解析指標を追加しよう

CVを目的としない純広告による媒体のレポートで分かることは、主にIMP、クリック数、CTR
(Click Through Rate:クリック率)、CPC(Cost Per Click:クリック単価)程度である。一般的に抽出可能なこれらの数字を見るだけでは、結局のところその広告の何が良いからクリック数が高いのか、何が悪いからCTRが低いのか判断ができないことが多い。その結果、レポートは各数字が想定より低かったか高かったかという感想に終始することになる。

レポートの数字のみでは、数字の良し悪しの裏にある理由がクリエイティブにあるのか、広告出稿先にあるのか、あるいはターゲティング手法にあるのか、判断することは極めて困難だ。

そこで、お勧めしたいのがGoogle アナリティクスを用いた解析指標を純広告の媒体評価に取り入れる運用である。レポートで参照可能な項目にもう1つ評価軸を加えることで、各数字の背景が類推でき、純広告出稿のPDCAに活かすことが可能になる。また、Google アナリティクスは基本的に無料のツールであり、これを活かさない手はないだろう。

Google アナリティクスでできること

Google アナリティクスで主に確認できることは、セッション数(Webサイトへの訪問回数)、ユーザー数(Webサイトに訪問したユニークユーザー数)、PV(ページビュー。Webサイトで閲覧されたページ数)、PV/セッション数(1ユーザーが1度の訪問につき何ページ閲覧したか)、直帰率(1ページだけ閲覧してWebサイトを離脱した割合)、平均セッション時間(Webサイト1訪問あたりの平均滞在時間)、加えてユーザーの年齢や性別、大まかなインターネット接続先などが分かる。

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図1
図1:Google アナリティクス内ユーザーレポート例

これらのデータを利用すると、ユーザーが広告をクリックしてページに流入した後のWebサイト内の行動を類推できる。それにより、出稿した純広告が狙い通りのユーザーにアプローチできているかが分かるようになる。

例えば、媒体のレポートでクリック数が想定よりも多かった案件があったとする。通常であれば広告の成果として判断できる材料はクリック数が多かった事実のみしか分からない。しかしGoogle アナリティクスを導入した結果、クリックしてページに訪れたユーザーは多くても直帰率が高く、且つPV/セッションの数値が少ないことが分かった場合、実はWebサイトに流入後のユーザーのページ内回遊率が低いことが分かる。よって、ユーザーにクリックはされているものの、ユーザーはブランド・サービスへの興味を持つことなくページを離脱しており、サービス認知ができたとは言い難いことが判明する。

逆に、クリック数が想定よりも少ない案件についても考えてみよう。前述の指標が良ければ(直帰率が低く、且つPV/セッションの数値が多い)、コアユーザーの獲得やブランド・サービス利用意欲を高めることができたと言える。

Google アナリティクスを用いた広告出稿PDCAの成功事例

ある広告主のケースでは、新規ユーザーへの自社サービス認知のために定期的な純広告の出稿を実施していた。しかし、純広告の出稿により本当にサービス認知が図れているのか判断する手立てがないまま、IMPが保障されていることやサービス認知に有効であるという純広告のメリットを拠り所として出稿を続けていた。本来の目的であるサービス認知の成果を追えないことで、純広告が果たして今後も継続すべき施策なのかどうかの判断もできない状態にあった。

そこで用いたソリューションが、Google アナリティクスを活用した広告配信結果の分析による課題解決である。

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図2
図2:純広告におけるGoogle アナリティクスを用いたPDCA

まず、ブランドデータバンクなどの一般消費者データベースサービスから抽出できるオーディエンスデータを基に、ユーザーを興味・関心や年代などで分類し、ターゲットユーザー像の仮説を立てた。例えば一戸建て不動産を探している消費者は、既婚者、30代・40代がメインユーザーであることが分かったり、レジャー・アミューズメントが好きなユーザーの場合、年代や性別が分かるだけでなく、ギャンブル・ゲーム・カラオケ・イベント参加・スポーツなど他の興味・関心との重複を推測できたりする。更に、その興味・関心を年代ごとに分類することができ、認知させたいブランド・サービスのユーザーやそのターゲットユーザーに近似したユーザーの仮説を立てられる。この仮説が、広告配信の際のターゲティングに役立つのである。

ターゲットユーザーの仮説を立てたら、適切な広告の種類を選ぶ。この場合の広告は、ターゲティング機能のある広告を選ぶ必要がある。純広告は、デモグラフィックターゲティング広告・行動ターゲティング広告・エリアターゲティング広告・時間帯指定配信広告など、様々な条件に合ったターゲティングが可能だ。例えば行動ターゲティング広告の場合、アウトドア・ギャンブル・レジャー/アミューズメント・スポーツ・イベントなどから最も自社サービスに近いものを選ぶ。

最適な純広告の媒体を選んだら、ターゲットとするユーザーの年代・性別・活動エリア・興味関心などの条件から最適なものを選択して広告出稿を開始した。そして、出稿結果をGoogle アナリティクスで確認するまでの一連のPDCAを約2ヶ月間で回していった。

大抵の広告主は、純広告と並行して運用型ディスプレイ広告(YDN・GDN)を配信しているので、全ての広告の結果をGoogle アナリティクスを使って分析を行った。すると、純広告経由でWebサイトを訪問したユーザーは、運用型ディスプレイ広告(YDN・GDN)よりも新規率が80%近く高く、かつ直帰率が運用型ディスプレイ広告に比べて低かった。また、Webサイトごとの滞在時間が長ことも分かった。クリック数では純広告は低い数値だったが、ディスプレイ広告よりも新規率やサービス認知の効率が良い広告だと裏付けられたのである。更に、ディスプレイ広告のインタレストカテゴリーで実施したターゲティングより、新規ユーザー獲得においては純広告の行動ターゲティングの方が獲得効率も良いことが証明された。

純広告の成果が良く、広告配信継続と判断できた後は、テストをしながら最適な広告配信方法を検証し、広告内容を改善していった。このケースにおいては、それまでは1週間程の期間ごとにクリエイティブのテキストや画像を差し替えたり、新規サービスが発表される直前にティザー広告を出しアオリ文句を入れるなど、それなりに工夫はしていた。しかしそれらの広告改善策はデータに裏付けられたものではなく、改善後も媒体のレポートを見てクリック数やクリック率の増減に一喜一憂するに留まっていた。

その状態から、出稿する対象の自社サービスを違う商品へ変更、新規サービス・商品が発売されるタイミングに合わせた広告出稿、季節のイベントに合わせた広告配信など、多様な検証方法に切り替え、それらを更に数ヶ月の期間を空けて運用するように変更した。このようにテストを繰り返しながら最適な広告配信方法を検証し、Google アナリティクスを用いた分析を行った。
その結果、純広告を通じて流入したユーザーは、「新規率が高くWebサイト滞在時間が長い」という情報を得られ、純広告が効果の高い配信方法だと分かった。

このケースでは、その後も広告のサイズを最適化したり、フラッシュを使用するなど様々な施策を試み、純広告を通じて獲得したユーザーは直帰率が低くWebサイト回遊率が高いという実績も得て、数ヶ月単位でPDCAを回している。

低い直帰率・高いWebサイト回遊率は、ユーザーのブランド・サービスへの興味喚起に成功したことを意味する。新規ユーザーへの認知拡大が進んでいることのみならず、ターゲットと仮説を立てたユーザーに適切にリーチできていると言えるだろう。

このように、新規ユーザーへのブランド・サービス認知を目的とした純広告出稿の際には、通常の媒体レポートにGoogle アナリティクスを用いた分析指標を加えることで、純広告の効果を最大化するPDCAを実現することができる。前述の通り、大抵の場合広告主は純広告とディスプレイ広告を併用して実施している場合が多い。純広告とディスプレイ広告、それぞれの長所を活かした広告配信のためにぜひGoogle アナリティクスを導入してみてはいかがだろうか。

執筆:株式会社アイレップ 第4営業本部 山本雅一

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