これで失敗しない!実例に基づくルールベース型自動入札機能設定術

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2015年11月24日 

リスティング広告において、工数削減と成果向上の実現のために、広告運用の自動化システムの導入は欠かせないものとなっている。特に「自動入札機能」の利用は必須となってきている。

自動入札機能には、「ポートフォリオ型」と「ルールベース型」がある。ポートフォリオ型は、担当者が指標を決めるだけで、ツールが入札の強弱を調整し目標を達成するための動きをする。一方、ルールベース型は、その名の通り運用担当者が条件付けたルールに則って管理を行う入札方法である。こちらは指定した獲得単価(CPA)を超える状況になった場合、指定した条件に合致するキーワードの入札単価を下げるなど、細かなルール設定が必要だ。よって、自由に入札ルールを設定できるため成果向上が担当者の腕にかかってくるルールベース型は、自動入札というよりも入札をサポートするツールという認識の方が近いかもしれない。自動入札機能ツールを導入する際には、広告主の予算や成果などの状況を考慮してポートフォリオ型かルールベース型のいずれかを選択することを薦める。

本コラムでは、特に自動入札機能のルールベース型に着目し、筆者が過去にやってしまった「失敗事例」を通して、成果を向上させるための基本的な設定方法をお伝えしたい。ここでお伝えする事例やルールはツール中立のものを取り上げるので、どのツールを導入している広告主にも通用する内容である。

失敗事例 1 「過去に成果が良かったキーワードが、気付いたら掲載順位が低下しランク外に!」

できるだけ直近の成果を反映させようと考え、直近7日間や当月の実績のみを指標にルール設計を行ってしまうと、このような状況に陥ってしまうことがある。

各ツールによって設定できる内容は異なるが、ルールを設定する際に指標とする期間は任意に設定できるツールが多い。直近7日間や今月中といった、直近かつ短期間だけの指標でルールを設計してしまうと、実は60日前やそれ以前には獲得できていたキーワードで直近だけ獲得数が落ち込んでいた場合でも、直近の成果のみで判断されてしまい、抑制入札がかかってしまう。そして抑制され続けた結果、本来は獲得数が多かったキーワードが成果の悪いキーワードとして扱われることとなり、最終的に掲載されない可能性が出てくる。

このような状況を回避するためにも、複数の期間指標を組み込むことが重要だ。ある期間、獲得数が減少したとして、閑散期による減少なのかその他の要因があるからなのか、直近の成果だけでは判断できない。閑散期がはっきりしている商品・サービスの場合はそれを区別するようなルール設定が必要だ。また、「短期間での成果」と「中・長期間での成果」という複数の条件を並行して組合せたルール設計をお勧めしたい。これにより、直近の成果に対する入札だけではなく、中・長期に亘る時間軸の成果を踏まえた入札も補えることになる。

失敗事例 2 「成果の良いキーワードの掲載順位が必要以上に上昇してしまった!」「テールワードが掲載されなくなった!」

上記の2つの事例は、一見全く異なる種類の失敗のように見えるが、実は原因の根っこは一緒だ。全体の目標に対して間違った動きはしていないものの、この状態が長く続くと獲得効率が悪化したり、機会損失が発生したりする。原因は成果獲得のための入札ルールだけを設定して、それ以外の入札ルール設計を実施していないことにある。この「成果獲得のための入札ルール」は、成果の良いキーワードの入札を強化し悪いキーワードを抑制するのが基本なので、効率よく獲得ができるキーワードの入札をどんどん強化していく。

人間が手動で入札する際に考えるような「これ以上の順位にするとCPC(Cost Per Click:クリック単価)が高くなるので、この辺りの順位で抑えておこう」といった視点はもちろん考慮されない。また、検索数が少ないキーワードは「獲得できないキーワード」とツールが判断してしまい、掲載していれば獲得が発生するかもしれないキーワードの入札価格をどんどん抑制してしまう。

このような状況を避けるために必要なのが「定期的なパトロールルール」の設定だ。ここでいうパトロールルールとは、アラートのフラグ立ての設定を意味する。例えば「成果が良くても、掲載順位が3位以上になったら入札を強化しない」ルールや、「検索数が100回以下でコストが1,000円以下のキーワードは入札を抑制しない」といったルール、「過去3ヵ月の間に、掲載コストが1,000円以下、かつ掲載順位が6位以下のキーワードに対して15%入札を強化する」ルールなどを、併せて設定することをお勧めしたい(各数値に関しては、各案件の状況に合わせた個別の設定が必要)。

また、入札ルールではないが、「平均CPCの上昇率が高いキーワードが発生したら運用担当者に知らせる」といったアラートを併用することで、アカウントのパトロールを行おう。成果を向上させるためのルールと同時に、陥ってはならない状況に対するアラートの設定が必要だ。中小規模のアカウントでも手を加えれば200程度のルールが必要で、大規模アカウントとなればルールの数は更に拡大する。人間の手で設定する以上そこに漏れが出る可能性はゼロではなく、その抜け穴をフォローするためにも、ブラッシュアップを続け、様々なパトロールルール設定をすることが不可欠だ。そうすることで偏った入札を回避することができる。

失敗事例 3 「ルールを適用しているキーワードの成果は良いのに、アカウント全体では成果の目標を下回った!」

どの広告主のアカウントでも、繁忙期は成果が良く閑散期は成果が悪くなる傾向がある。運用担当者は手動で入札する際に「繁忙期だから強めに入札しよう」とか、「閑散期で成果悪化が見込まれるから、効率の悪いキーワードを強めに抑制しよう」などという調整を行っていると思うが、自動入札の場合も考え方は同じである。

繁忙期に限らず、アカウント全体で成果が良い時はアクセルを踏み、悪い時は良い状態を維持しつつも成果の悪いキーワードを強めに抑制するといったように、事前に複数のルールを設定しよう。それにより、その時々のアカウント状況に応じた入札を稼働させることが可能となる。特に、繁忙期・閑散期がはっきりしているアカウントや、成果の変動が激しいアカウントにはパトロールルール設定は有効である。

ここまで失敗事例3件を挙げてきたが、そこから学べるいずれにも共通する重要なポイントが、「1つのルールで動かすのではなく、複数のルールで補いながら稼働させていく」ということだ。複数のルールとは、「複数の条件を組み込んだ単体のルール」と「複数のルールを同時に稼働させる」という両方の意味である。

成果を上げるという確固たるゴールに向かっていても、目先や直近のことばかりに注視していると、思わぬ所で足元を掬われる。ルールベース型とは、成果向上という1つの大きなルールを実現するために、複数のルールの設定が必要だということをお分かりいただけたかと思う。

成果の変動にも対応できるようなルールを設定し、アカウントの動きを短期と長期の両方の視点で見ることが大事である。また、1つのルールを支えるために複数のパトロールルールを設定することで、望まない結果に陥らないための予防線を張っておくことも可能だ。お互いに補完し合って成果向上というゴールを目指すのがルールベース型の自動入札機能である。どのアカウントにも起こりうる失敗の実例を通して、ぜひ成功する自動入札運用を目指してほしい。

執筆:株式会社アイレップ 第3営業本部 西日本第1チーム 宇和田さくら

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