“Deep Link”を活用したユーザーおもてなし術 ~継続的に使用されるアプリの仕組みとは~

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2015年12月15日 

スマートフォン向けアプリをヒットさせるために必要な要素は、そのアプリの企画や開発力、リリース後の各種マーケティング施策であることは間違いないだろう。その中でも、アプリのリリース後から運営安定期に向けて徐々に重要度を増してくるのが「ユーザーが継続的にアプリを使ってくれる(=アプリがアクティブ化する)仕組み作り」である。

ここで言う「アプリのヒット」とは、ある一定期間のダウンロード数を指すのではなく、「長期間にわたって継続的にユーザーに使用されるアプリ」と定義している。

Google によると、ダウンロードはされたものの1ヶ月後に使われなくなるアプリはなんと全体の95%に及ぶという。せっかくダウンロードされたにも関わらず、そのままスマートフォンの中で忘れ去られるアプリが実は大半なのだ。

では、「アプリを継続的に使ってもらう仕組み作り」として具体的に何をすればいいのか?その施策の土台となるのが、今回ご紹介する「Deep Link(ディープリンク)」である。

Deep Linkとは

Deep Linkとは本来、Webサイトでいうトップページ以外の各階層へのダイレクトリンクを指す言葉である。Web上のリンクをクリックし、トップページを通さずにサイト内の特定ページへ直接移動することはWebサイトではもはや常識といってもいい。しかしアプリにおいては、アプリ内の特定コンテンツへユーザーがダイレクトに移動する手立てはこれまで存在しなかった。それを可能にしたのがDeep Linkである。

アプリでいうDeep Linkには、アプリトップ(立ち上げ時のコンテンツ)も含むことが多いので、「アプリの中の特定のコンテンツを指し示す、WebサイトでいうURLみたいなもの」とイメージすると分かりやすいだろう。

例えば、アプリのDeep LinkとWebサイトのURLの構造を、「irep」というアプリ(サービス名)があると仮定して比べてみよう。

▼WebサイトのURL例
トップページURL http://irep/top
コンテンツページURL http://irep/seo/colum/**

▼アプリのDeep Link例
アプリトップリンク irep://
アプリ内コンテンツへのリンク irep://seo/colum/**

上記を見ると、アプリのDeep Linkにおけるアドレス構成をイメージしていただけたのではないだろうか。Deep LinkはURLに比べて、アプリの構成に合わせて名称ルールなどを開発側で任意で設計することが可能だ。「://」の前に「URLスキーム」と呼ばれるWebサイトにおけるURLのようなアドレスを入れるという共通認識があるものの、現状はコンテンツに沿って比較的自由に設計できる。このDeep Linkをアプリ内のコンテンツごとに実装することで、ユーザーはアプリのトップから階層を降りていくのではなく、各コンテンツへダイレクトにアクセスすることが可能になる。

Deep Linkを実装するメリット

Deep Linkを実装する具体的なメリットは、大きく2つ挙げられる。

(1)ユーザビリティの向上

1つ目のメリットは、アプリユーザーの利便性向上だ。例えば、以下のリンクにDeep Linkを活用した場合、ユーザーは1クリックでアプリ内の目的コンテンツへ辿り着くことができるようになる(図1参照)。

  • ・自社Webサイト内のリンク
  • ・メルマガ内で取り上げた商品ページへのリンク
  • ・ノベルティに記載したイベントページへのリンク
  • ・ニュースサイトに記事が取り上げられた際のソース元リンク
  • ・FacebookやTwitterのシェア用リンク

※画像Clickで拡大
図1
図1:Deep Linkについて

従来存在していた、トップページから各階層を降りて目的のコンテンツに辿り着く、といった煩雑なステップが省略できるため、ユーザーからみた利便性は向上する(結果、アプリ内での離脱率は下がりコンバージョンにも結びつきやすい状態となる)。

また検索エンジン経由からWebサイトへの流入が多いサービスの場合に是非検討をしてほしいのが、Deep Linkを活用しGoogle が提供している「 App Indexing(アップインデクシング) 」である。

App Indexing とは、Google のモバイル検索結果に表示されるWebページとアプリ内の特定のコンテンツを結びつけることができる機能だ。この機能を使えば、アプリを保有しているユーザーをGoogle のモバイル検索結果からアプリの関連するコンテンツへ直接誘導することができる。

2015年6月から、Deep Linkに対応しているアプリは検索結果ページにアプリ内コンテンツが直接表示されるようになってきている。ただし、App Indexing を実装した場合、検索エンジン経由のWebサイトへの訪問者数はアプリへ誘導を行った分減少するため、App Indexing の対応範囲をどこまで設定するかについては事前の設計が必要だ。例えばWebサイト側のサービスが充分に整っている場合は、アプリに飛ばすことで本来Webサイト上からあがっていた収益が落ちる可能性はある。Webサイト、アプリそれぞれのユーザー行動や収益率を分析した上で、例えばWebサイトにおいて収益率が圧倒的に高いキーワード、コンテンツはApp Indexing 対応を行わないなどの細かな設計が必要だ。

直近の話になるが、2015年11月にGoogle はWebサイトを持たないアプリに対してもApp Indexing 対応を広げていく旨をリリースで発表している。アプリ上だけでサービス展開を行っている場合は先述したリスクもなく、実装によりユーザーとの接触機会増加が見込めるので、ぜひ事前準備を進めていただきたい。

(2)プロモーション施策幅の拡大

2つ目のメリットは、広告施策の幅を広げることができる点である。今まではアプリにおける広告の活用は、主にインストールを目的とした使用に限られてきた。

しかしDeep Linkを活用すれば、新規ユーザーと既存ユーザーを分けて、

アプリを持っていないユーザー ⇒ ストアに飛ばしてインストール促進
アプリを持っているユーザー ⇒ アプリ内コンテンツに飛ばしてアクション(購入や資料請求など)促進

といった形で、新規・既存両方のユーザーに対し、訴求を分けてアプローチすることが可能になる。

また既存ユーザーに対してはランディングコンテンツを出し分けるといったように、より精緻なリマーケティング設計を行うこともできる。

Deep Linkに対応している代表的なアドネットワーク

各アドネットワークがDeep Linkを使った広告配信に対応しつつあるが、すでに活用が進んでいる代表的なアドネットワークをまとめてみたのでぜひ参考にしていただきたい。

Google AdWords :
エンゲージメント広告としてアプリ内でのアクションを促す広告出稿が可能。Google アナリティクス で作成したリマーケティングリストと組み合わせて、特定のユーザー群はコンテンツAに飛ばす、といった細かな設定も出来る。

Facebook、Twitter:
同じくアプリ保有の有無で広告の出し分けが可能。直近は従来のダウンロード訴求だけでなく、アプリを保有しているユーザーに対し再起動を促すための広告配信も伸びてきている。

Criteo:
Deep Linkを使用した広告の自動生成が可能。Web同様、レコメンデーションされた商品をクリックすると、アプリ内の該当コンテンツに直接誘導される。

Bypass、FreakOutなどの各種DSP:
既存ユーザーのIDをDSPと連携させることで、既存ユーザーへのみ広告配信が可能。また既存ユーザーIDを基とした類似ユーザーへの拡張配信等も可能。

この他、Yahoo!などの主要メディアもDeep Link対応を順次進めており、活用の幅は益々広がっている。

最後に

アプリの規模にもよるが、Deep Linkの実装作業自体は約1か月程度と難易度が高いものではない。ただDeep Linkの導入やアプリに度々手を入れることへのハードルがある場合は、Deep Linkの実装をサポートするツールを入れるのも一手だ。

Deep Linkは正しい使い方をすれば、ユーザーとのコンタクトポイントを増やし、またアプリ自体の利便性を高める良い手段だ。「ユーザーが継続的にアプリを使ってくれる(=アクティブ化する)仕組み作り」の一手として、ぜひ活用を検討してほしい。

2015年9月30日、Google はニューヨークで開催したSMX Eastにおいて、新しいApp Indexing のAPIを利用することで検索結果の恩恵を受けられることを発表した(「Google 、App Indexing APIをランキングに活用することを発表」、SEMリサーチ)。Deep Link、及びApp Indexing の活用は、そういった側面からも今後益々増えてくるであろう。


執筆:株式会社アイレップ スマートフォンアプリプロモーション室 齋藤七恵

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