「見える」検索サービスはどれだけ便利? ~ マーズフラッグのこころみ

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2006年06月21日 CNET Japan ブログ 渡辺隆広のサーチエンジン情報館

”国産”検索エンジンを開発しようという国のプロジェクト「情報大航海プロジェクト・コンソーシアム」が動きはじめた。そもそも国産にこだわる理由は?消費者にとって役立つ検索技術を開発できるのか?開発する検索技術は実際に利用されることがありうるのか?Googleと正面切って戦っても意味がないといっているが動画・画像技術開発は結局Googleと戦うことになるのでは?等々、考えれば考えるほど疑問点が多いプロジェクトであるが、そうした話の前に今回は「国産」ということで株式会社マーズフラッグの検索エンジンを取り上げてみたいと思う(MARS FLAG)。

Google、Yahoo!、MSNの3大プレーヤーによる検索市場の寡占化がマーケットにとって決して良い影響を与えるとは思わず、従って検索サービスの選択肢が増えることに基本的に私は賛成だ(その意味で経済産業省のプロジェクトにはがんばってほしいという気持ちはある)。従ってMARS FLAGという新しい検索サービスが登場したことは喜ばしいことだと思う。

さてこのMARS FLAG、まだ使ったことがない方は是非一度使ってみてほしい。検索結果画面にリンク先ページのサムネイルが掲載されるという、他の検索サービス※にはない特徴がある(※IEに搭載されているMSNサーチを利用するとサムネイル入りの検索結果画面になる)。

従来の検索サービスにおいて、私たちはタイトルや説明文、URLといった文字列の中から「欲しい情報がありそう」なページを見極めてクリックしている。しかし現実には、例えば何か商品を購入しようと訪れたところ、確かにその商品は取り扱っているがウェブデザインがチープで信用できなさそうだからここで購入したくはない、と感じてブラウザのバックボタンを押してしまうような経験があるだろう。あるいは特定の情報をリサーチしていて、多様な情報ソースを求めているのにクリックしてみたらさきほど訪問したサイトのミラーサイトでがっかりだった、という経験もあるのではないだろうか。

つまり、私たちは最も適合する(検索意図に合致した)ページを探し出すために、単に検索結果画面だけで判断しているのではなく、実際にページを訪れてそこの視覚要素や情報配列から得られる信頼性という物差しも使っているのだ。しかし現在の検索サービスにおいて、その視覚要素の情報を得るためには試しにクリックしてみるしかないのだ。

この点において、サムネイルを検索結果に表示させて視覚要素で関連性のあるページを探させようというマーズフラッグの試みは適当といえるだろう。この、視覚要素による適合性の評価要素は"Visual Relevancy"として米MarketSmart Interactiveの Cassie Gillette氏が簡単な実験を行っている。同氏は米Ask.comが提供しているサイトプレビューツール binoculars の実験であり、「クリックする前にサムネイルでページが確認できる」という点では同じだが見せ方が違うためそのまま適用はできないと思うが、サムネイルを見せることがどれだけ有効なのかを知るには十分だ。

同実験では50人の被験者を対象に、binocularsを利用してもらうことでクリックスルーにどのような変化が起きたかを調査した。その結果、サムネイルを見ることでサイトが役立ちそうか、魅力的か、信用できそうかが判断できる点、ナビゲーションがわかりやすそうかなどの判断によってクリックするリンクを決めたという意見が聞かれたという。

以上、「見える」ことを訴求した検索サービスということで今後どのように展開していくのか期待したいところなのだが、課題もある。第1に、こうした検索結果の視覚化による差別化を行ってきた検索会社は数多くあるものの、その中に成功したと呼べるようなものは一つも存在しないという点。視覚要素の差別化は一時は話題になるのだがその後すぐに忘れ去られてしまうという歴史が繰り返されているのだ。おそらく、視覚的なインパクトは関心こそ引けども継続的に利用させるほどの説得力がないのだろう。

第2に、MARS FLAGは"Visual Relevancy"はともかく一般的な"Relevancy"(関連性)がまだまだチューニングの余地があるという点だ。これはまだ正式版として登場したばかりでもあり、今後の改善を見届けたいと思う。

(執筆:株式会社アイレップ SEM総合研究所 渡辺隆広)

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