モバイル検索の未来は?

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2006年07月01日 CNET Japan ブログ 渡辺隆広のサーチエンジン情報館

今日7月1日は私が検索業界の仕事に携わってちょうど9年になる日。「2005年はみんなが普通に検索エンジンを使っている世の中になっているんだ」と、なぜそうした未来の世界を当時大学生の私が思い描けたのかは今となっては知る由もないが、「変なコトをしていますね」と色々な人から不思議な眼差しで見られたSEOを我慢して提供し続けてきたことは、今日の世の中を見ると(色々な意味で)良かったなとは実感している。

そんな「検索エンジンがネットを支配する世界」こそ思い描いたものの、Googleという巨人が誕生し世界的な検索を支配しているとは思わなかったし、まさか携帯電話からのインターネット接続がPCを上回るようになるとは思わなかった。仕事との兼ね合いもあり、ここ最近は移動中はできるだけ携帯電話からの検索を利用するようにして、2010年のモバイル検索の世界はどうなっているんだろう?PC検索と同様にモバイルSEOやリスティング広告、あるいは携帯検索ならではの新しいビジネスモデルが生まれる余地はあるのだろうか?携帯電話からの検索行動・利用シーンは何がスタンダードになるのか?など色々思いを巡らせているが、正直まだまだ見えてこない点が多い。

携帯電話の高性能化、通信速度の高速化、定額制、NTTドコモ、au、ソフトバンクの検索エンジンとの提携、勝手サイトの増加などの環境要因を踏まえれば確実にモバイル検索の利用者数は増えていくことは予想できるが、例えばモバイルウェブ検索の性能を体感してしまうと(PC検索のように)「あれもこれも探せる」代物とは思えないわけだ。例えばビットレイティングスが米Vivisimoと提携して開発した検索サービスは他のモバイル検索と比較して確かに情報が探しやすくなったことは実感できるのだが、それも検索クエリに大きく依存するようだ。テーマパーク・施設、あるいはブランドクエリでの検索は比較的良好なものの、それ以外だと分類項目自体がクエリと全く無関係なケースもあるようだ。

その他のモバイル検索は、何のクエリで検索しても出会い系やアフィリエイト(?)のようなページばかりが出てきてしまって操作性に限りがある携帯電話からの利用ではどうしてもフラストレーションがたまってしまう。

結局、相互にリンクを張り合わず、情報の論理構造を定義するHTMLタグが利用できない携帯サイトにおいては検索エンジンが「そのページは何について記述されている情報か」「そのページはどれほど重要性の高いものなのか」(GoogleでいうPageRankの概念)「そのページはどれほど信頼性に足るものなのか」(TrustRankのような概念)知るすべがないため、仮に検索クエリに込められたインテンション(意図)が完璧に把握できたとしても適切なページ検索結果を表示できない事態となってることが問題だろう。この問題が解決できなければ、利用できる検索エンジンの種類を増やしてもあまり意味がないように思える。仮にこの問題を解決するイノベーションが起きたり、あるいはPCの世界で利用されているようなソーシャル的な要素をモバイル検索に適用して関連性を高めようというアプローチが出てくるかもしれないが、PCと比較して制約が多い携帯電話での操作履歴が検索を改善する程度のデータ蓄積が可能だとは少なくとも現時点の利用用途を考えると厳しい。別の見方をすればこの分野においてはGoogle、Yahoo!、MSNというPC世界での巨人でなくても技術次第でスタンダードになるチャンスは十分にあるわけで、どんなベンチャー企業が出てきてモバイル検索の世界を変えてくれるか楽しみともいえるだろう。

ちなみに、カメラで撮影して検索できるオリンパスが発表した技術のように、検索するためのクエリが画像や音声などにとってかわるのは携帯電話ならではの機能だ。視聴中のテレビ画面に出てきた映像を撮影して携帯電話から該当サイトにアクセスなんて利用シーンは出てくるだろうし、こうした送り込むクエリが画像や音声になるとナビゲーショナルサーチ(特定サイトに辿り着くことが目的)、つまりあらかじめ特定の回答を求めた種類の検索がこれからもっと増加していくであろう。

(執筆:株式会社アイレップ SEM総合研究所 渡辺隆広)

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