「モバイル検索の未来」SEM総研渡辺隆広インタビュー

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2007年07月27日 αSEO オリジナル記事

今回のインタビューは、日本のSEO対策の第一人者である株式会社アイレップSEM総合研究所所長 渡辺隆広さんです。モバイル検索の現状と今後をテーマに、モバイル検索とPC検索の関係はどうなるのか、モバイル検索は今後どのような流れに向かうのか、早速お話を伺ってみましょう。

auにGoogle検索窓が搭載されて1年、モバイル検索はどう変わったか?

―モバイルの検索エンジンが導入されてから1年になりますが、この1年で何が変わったと思いますか?

携帯会社が検索エンジンを導入して1年が経ちましたが、その間に検索クエリが増えましたね。今までのモバイルの検索というと、検索というよりも、単にカテゴリーを辿ってアクセスするというものでした。今では各社とも、メニューのトップ画面もしくは1クリックするだけで検索BOXが表示されるようになっています。そのため、自然とモバイルでもユーザが欲しいものを検索するというように、消費者の行動にも変化が見られます。また、モバイル対応のPCサイトや、モバイルコンテンツの情報量は確実に増えてきています。情報量が増えるということは、モバイルでも確実に自分の探したい情報が見つかるということに繋がります。検索のマッチング精度が上がれば、飛躍的に利用者数が増えるでしょうね。まだPCに比べて市場規模が小さいのですが、確実にモバイル検索の利用者数は増えてきています。

モバイル検索によるユーザ動線の変化

■検索窓が導入されるまでは、カテゴリのリンクを辿って、サイトのトップページに訪れていた。検索窓導入後は、検索キーワードとマッチしたページがヒットするようになり、ユーザ動線が大きく変化している。

―よく、UIDやSSIDをつけないようにとガイドラインにありますが、現状では取ることはなかなか難しく、モバイルサイトを作るときには付いて回る問題ですよね。また、普通に社名検索をしても検索上位に上がりません。これは、検索エンジンに問題・・・つまりは変わろうとしないことに問題があるのではないですか。

そもそも何故PCの世界では検索エンジンの精度が保たれているかというと、Googleのページランクに代表されるように、WEB上のリンクを分析することでサイトの価値・評価を判断したり、アンカーテキストというものを利用して、会社名やキーワードに対しユーザの欲しい情報を表示したりすることができるからなのです。しかし、モバイルの世界ではこういったリンクの分析をすることが困難と考えられています。そうなると、一昔前のPC検索エンジンのように、ページの中の文字列を中心に判断しなければならないわけです。しかも、キーワードのマークアップ(強調表示)もしにくいため、どのページがどのキーワードに関連するか判断ができないのです。携帯キャリア各社とも、もちろんこの検索エンジンの問題を認識しているとは思いますが、技術的な面でこの問題を解決する方法がないというのが現状なのです。
そういった中で考えうる方法としては、(1)少し前のPC検索エンジンで採用されていた「ディレクトリ型」を使う、(2)あるいは特定のコンテンツだけを集める「バーティカル検索」をたくさん立ち上げる ということでしょうか。他に考えられる方法としては極端ですが、モバイル検索にこだわらないということです。今のモバイルのサービスは通信速度の向上・パケット定額制と充実しており、PCを持っていなくてもモバイルで、しかもフルブラウザでPCサイトを検索できるようになっています。この流れが進化していくと、モバイルサイトであるかPCサイトであるかという区別は関係なくなります。特に今の10代20代といった人達のように、モバイルで始めてインターネット検索をしたという人達は、そういったを区別しないといった傾向が見られるのではないでしょうか。このようにフルブラウザの利便性が高くなると、モバイル検索が今後も必要であるかは疑問ともいえます。

今後どうなる?各キャリアの公式サイト検索

―auの検索結果において、「公式検索結果|一般|PC」の中で、一般サイトのクリック率が高いという話を聞いたことがありますが、今後、公式サイトと一般サイトの関係はどうなると思いますか?

そもそもユーザにとっては、公式サイトであるか一般サイトであるかということは関係なくて、コンテンツが面白いかどうかということに関心がありますよね。通販や有料サイトの支払いといった面では、公式サイトのほうが便利であり、公式サイトもまだ利用されるとは思いますが、それ以外ではユーザにとって区別するメリットは特にありません。要は、コンテンツが面白いのであれば、関係がどうこうということはないと思います。

―DoCoMoでは公式サイトと一般サイトのアクセスが変わらないのは、公式の検索エンジンしか表示されない入り口が原因ではないかと思いますが、DoCoMoの14検索エンジン連合は変わるのでしょうか。

おそらく、検索エンジンを14個も並べるのは、DoCoMoとしては中立の立場を維持したいという考えではないでしょうか。どれか1社に依存することはしたくないのでしょう。ユーザからしてみれば、似たようなものを14個も並べられてもあまり意味はないのですが。当然この中では利用頻度に差があるはずなので、半分くらいに減らしてもいいですよね。そういった意味では減る可能性もあると思います。今後あえて変わるとするならば、ユーザが自分でデフォルトを決められるようになるということでしょうか。要は自分のよく使う検索エンジンを指定しておくことで、一番上に表示させるということです。

モバイルロボット検索相関図

■モバイルロボット検索 検索エンジン相関図(2007年7月現在)

―auは今後もGoogle検索を使い続けると思いますか。

難しい質問ですね。SoftBankがYahoo!を使っている状況で、auはGoogleという社会に認知されている世界最大手の検索エンジンを使うことで、ユーザに対して一定の品質・安心感を与えているのでしょう。検索品質を改善するという意味では、Googleはいい選択肢の1つなので、auからするとGoogle辞める必要もないでしょう。ただし、文字を入力する前に答えを表示するというような、モバイル検索で革新的な技術を持った企業が今後出てくれば分かりませんが。

海外事例からみる、今後のモバイル検索の行方

―それでは国内から海外へと話を移したいと思います。海外のモバイル検索の状況を教えてください。

海外のモバイル検索の特徴としては、Yahoo!、Google共にユーザの検索クエリを理解して、検索結果を動的に変更しています。例えば、日本のau検索はどのようなキーワードであっても「広告|公式検索結果|一般|PC」の順序は変わらないのですが、米国のYahoo!、Googleはクエリによってその順序、出てくるコンテンツは変わります。上映している映画のタイトルを検索すると上映情報が一番上に表示され、某有名野球選手の名前を検索すると、その日の試合の結果を表示します。でも、「レストラン サンフランシスコ」と検索すると、サンフランシスコ周辺の情報を上位に表示するというように、ユーザのクエリを理解して、それに対してリンクという「答えの候補」ではなく、ダイレクトな「答え」を表示します。
Ask.comの場合も、複数のバーティカル検索を並べておいてその中で予めユーザに選択させるようになっています。例えば、天気を知りたい場合にはウェザーというカテゴリーを選ばせて、そこで場所を入力させます。また写真を知りたい場合は、まずカテゴリーでイメージを選ばせてクエリを入力するというようになっています。予めモバイルの利用シーンでユーザが探すであろうカテゴリーを並べておいて選ばせるといった方法で、検索品質を担保しているのです。日本の場合とは発想が全く異なっています。その理由の一つとして、「検索の利用シーンの違い」があります。米国のモバイル利用シーンとしては20代・30代のビジネスマンが多く、モバイルでインターネットを使うのは日本ほど進んでないことが挙げられます。日本のように「暇つぶし」で検索をするということがなく、「緊急性」「必要性」があって始めてモバイルで検索をします。

米Googleモバイル検索

■米国 Googleモバイルの検索結果。「ichiro」と検索をした場合は、イメージ検索→ニュース→Web検索の順に表示される。一方、「Japan earthquake」と検索をした場合は、ニュース検索が先に表示される。

―今後、モバイル検索はどのように進化すると思いますか?

モバイル検索における一つの発展の方向性として、GPSと絡めた検索が流行るのではないかという話があります。確かに、モバイル検索においては、クエリの意図は場所によって変わります。例えば、「渋谷」でラーメンを検索する場合と「福岡」でラーメンを検索する場合とを考えると、分かりやすいかと思います。このように場所に依存したクエリが多いのですが、都内でGPSを使うと情報を取得できない場合があったりします。日本全体で見るとGPSは使えるのでしょうが、エリアで見ると実は使えない場所も多いのです。そうであるならばGPSが重要というよりも「場所」ということが重要なのであり、場所を活用した検索がモバイル検索における一つの発展の方向性としてはあるのではないかと思います。

―パーソナライゼーションの進化に関してはどうでしょうか。

パーソナライズド検索に関してはモバイルもPCも同じであり、それが効果を発揮するのは「特定の目的」で検索する場合です。例えば「SEOの情報だけ」検索するときを考えると分かりやすいでしょう。たまにケーキが食べたいと思って検索をしても、SEOという名前のケーキ屋さんが出ても困りますよね。仕事のときだけパーソナライズドをオンにするかといっても、ユーザはいちいち切り替えることはしないでしょう。パーソナライズド検索には、そういった問題があります。ただし、パーソナライズドはユーザの情報を蓄積するものなので、「レコメンデーション」としては活用されるかもしれませんね。例えば、モバイルで「自転車」を買いたいと思って探していたとしましょう。翌日に自転車のページが一番上に表示されていた場合は嬉しいですよね。そういったレコメンデーションとしての使われ方はアリでしょうね。

―最後に、モバイル検索のまとめについてお願いします。

モバイル検索の今後として、検索する「時間」によって表示結果を変える、GPSのところでお話したように検索する「場所」によって表示結果を変える、先ほどの「過去の検索履歴」からレコメンドするという流れに向かうことが考えられます。モバイルでの動画検索の技術も進化するはずです。ワンセグのコンテンツをモバイルで検索できるといったことも、今後は可能になるのではないでしょうか。「○件ヒットしました」という表示もなくなるでしょう。100件表示されても探すのに手間が掛かりますし、100件目までいちいち探してはいられませんからね。前のところで、モバイル検索が今後も必要であるかは疑問であると述べました。正確にいうと、必要かどうかというよりも、モバイル検索は基本的には残ると思いますが、モバイル検索がフルブラウザで一本化しPCサイトもモバイルサイトどちらも表示できるなど、フルブラウザの普及次第では、現在とはモバイル検索の位置づけが変わるのではないかと思います。

―渡辺さん、ありがとうございました。

文=株式会社アイレップ 千葉哲

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