2008年サーチマーケティング展望~日米 SEO への取組みの違いから見る今後の SEO 展望

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2008年01月08日 Japan.internet.com コラム

検索エンジンは、情報を発信する企業とそれを求める利用者(検索ユーザー)の、コミュニケーションの橋渡し的役割を担う存在であり、これを円滑に行うために日々発信・蓄積されたデジタルコンテンツが、検索要求に応じて適切に検索結果に配置されるように、最適化するための技術が SEO である。

今日のデジタル世界において、検索エンジンや SEO が担う役割や意義について、ある程度の理解が浸透している米国においては、単に Web サイトの収益を上げるための目的のみならず、PR/広報戦略としての ORM(Online Reputation Management)やブランディング、メッセージを伝達する手段としてのサーチマーケティングを展開している企業も増えてきている。

これは米国での SEO の認知が広がりはじめた2000年初頭から、活躍する SEO エキスパートの多くが、そうしたサーチの可能性に気づき、それらを啓蒙する情報発信や教育を積極的に行ってきたことも背景にあろう。

ここで大事なことは、単に特定のキーワードでの順位をあげるためにリンクをかき集めるという極めて近視眼的な手法のみならず、蓄積され続けるデジタルコンテンツが常に検索可能であるように“Web サイトが、検索エンジンに理解・評価されやすいように整える”ことを意識し、それを実現するための手法が模索し続けられていることである。

例えば、米国では Paid Links(ペイドリンク、有料リンク)に代表されるように、如何に効果的かつ効率的にリンクを集めてくるかの手法は、もちろん注目されたけれども、同時にソーシャルメディアの台頭と共に、SMO(ソーシャルメディア最適化)あるいは SMM(ソーシャルメディアマーケティング)といった言葉と共に、それらのマーケティング活動を行いつつ、検索エンジンとの親和性を高めた施策、「どのように自然発生的なリンクが集まるサイトをシステマティックに構築するか」が追求されている。

また、SEO のパフォーマンス測定においても、単に特定のキーワードでの順位がどうなっているかによって SEO の成果を測るのではなく、SEO の実施によってサイト全体のトラフィックがどのように変化したか、また組織的に多くのコンテンツを発信する大企業やコンテンツそのものを大量に保有する企業であれば、カテゴリ毎における検索エンジンでの情報の検索性の高さ(ビジビリティやファインダビリティと呼ばれる)のトレンドを測ることで、企業全体の SEO 戦略を随時設計・修正している企業も出てきている。

対して日本では、2007年は米国同様にペイドリンクを通じた外部リンク対策による、特定キーワードでのランキングを如何に上昇させるかに、マーケティング担当者はフォーカスしてきたし、プレスリリースや新商品・サービスの紹介、各種キャンペーンなど多くの企業活動をデジタル世界で展開しているにもかかわらず、それらの検索エンジンとの親和性を考えたサイト構築に対する意識が高いとは、残念ながらいえない状況だ。

つまり米国と日本では、SEO を利用したサーチの活用・展開方法について意識の違いがあるわけで、それは検索連動型広告という広告手法と、SEO という技術手法の役割の違いを認識しているかどうかにあると思われる。検索連動型広告は、広告として予算投下するわけだから、最初に設定するリード獲得や売り上げといった指標を達成する必要に迫られる。一方、SEO はそれを Web サイトに適用した時に得られる効果は広範囲におよび、単一の指標だけで測ることはできない。

消費者は、日常生活の中でさまざまな疑問や興味・関心などのインテンション(検索意図)を持ち、それが生まれたときに検索をする。そのインテンションに応えることで直接売り上げは発生するわけではないかも知れないが、その検索要求に対して答えを提示してあげることは、企業の広報・ブランディングの観点からは無視することができないだろう。

また、ネットで企業のさまざまな評判が容易に検索して取得できるようになっている以上、オンラインで自社がどのような検索結果画面の中で掲載されているのか、ネガティブな評価が点在しているのであれば、それが何が原因で発生しているのかなど、監視していく必要もある。

企業が発信する情報のうち、最初に接触するメディアが Web サイトとなり、その Web サイトへ到達するための手段として、検索エンジンが日常的に利用されるようになった以上、これまでの特定キーワードでの上位表示対策のみでは、消費者に適切な形で情報を届けることができない。

企業は、インターネットを通じて発信するあらゆる情報を、求めているユーザーに適切に届けることの重要性を認識し、デジタルコンテンツをどのように効率的に消費者に届けるかという視点での SEO 施策を考えていかなければならないだろう。

(株式会社アイレップ SEM 総合研究所 所長 渡辺隆広)

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