ソーシャル検索が検索の世界を変える!?

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2008年10月20日 

ソーシャル検索の種類(Q&Aサービス・検索結果のカスタマイズ・SNS)

ソーシャル検索の定義は人によって異なるため、最初にしっかり分類することが必要になります。ソーシャル検索は、次のように3つに分類することが可能です。

1つ目は「Q&Aサービス」というもの。例えば「人力検索はてな」「Yahoo!知恵袋」「OKWave」というような、人が人に質問する形式の「知識検索」と呼ばれるものです。

2つ目は、「Search Wikia」「Mahalo」と呼ばれる、検索結果をユーザ同士で共有・カスタマイズするタイプのものです。

3つ目は、SNSのようなソーシャルグラフ、要は人のつながりを用いることで検索結果を変えようとするものです。

今回は、これらのソーシャル検索が検索業界に与える影響についてお話していきましょう。

知識検索による、検索会社の差別化戦略

「Q&Aサービス」は、自分が求めている答えを探すために適切なキーワードを、全ての人が得ることができるわけではなく、自分の求めている答えがWebページにしっかりと記載されているわけではありません。例えば「東京タワーの高さ」を調べたいのであれば、「事実」なのでどこかのWebページに記載されているはずです。しかし、「120分間、のどが渇くことなく話し続ける方法」といったものであれば、Webページから答えを探すのは非常に困難でしょう。

このように形式知を探すのであればどこかのWebページに記載があるはずですが、暗黙知、人の持つテクニックやノウハウ、曖昧なもの、ニッチなもの(例えば、誕生日プレゼントには何がいいのかなど)は、Webページに明確な答えがあるわけではありません。ただし、それらを質問すると、「多分~がいいのでは」というような参考情報は教えてくれます。少なくとも、答えを求めるためのきっかけにはなるはず。「Q&Aサービス」にはこのようなメリットがあるわけです。

人が頭のなかに持つ知識に関する質問や答えがやり取りされることで、それらの情報がテキスト化され、データベースに蓄積されることとなります(知識データベース)。知識検索は人の質問を基に生まれたデータであるので、ユーザの検索ニーズもあるとして最近では注目されています。日本で知識検索の代表は「Yahoo!知恵袋」「OKWave」といえるでしょう。ちなみに「Yahoo!知恵袋」では、Yahoo!の検索結果画面のなかに知恵袋へのリンクが表示されています。

Microsoftが2008年3月に「OKWave」に出資をして、「MSN相談箱」というサービスを行っています。「OKWave」はgooの「教えて!goo」など、数十社もの企業にデータベースを提供しており、日本ではよく使われている「Q&Aサービス」です。Microsoftの出資によって、今後「Live Search」との連携強化も予想されます。Microsoftでは知識検索を今後さらに進めていくであろうし、データベースで検索可能にする、あるいは検索性を高めることで、Yahoo!やGoogleとは差別化できるのではないかと期待されています。

惜しい点を挙げるとするならば、「OKWave」のデータベースの検索がMicrosoftだけで可能であれば、「Live Search」にとってはアドバンテージとなったということでしょう。知識検索の重要性自体は確かに存在するものの、「OKWave」は数十社もの企業にデータベースを提供し、Microsoftだけが使える経営資源ではないので、検索会社からするとインパクトは薄れてしまいます。

ただし、今まで「Q&Aサービス」という枠で考えられていた「OKWave」が、知識検索において主役に躍り出たという点は面白いといえるかもしれません。

Googleではかつて、「Google Answers」という、お金を支払って質問を投稿すると回答が得られる有料のQ&Aサービスを行っていました。ちなみに中国では、この「Google Answers」に相当するサービスが行われています。しかし、Googleでは知識検索に関してとりわけ戦略を持っているわけではないようです。

検索結果のカスタマイズは、ユーザにとって本当に便利なのか

検索結果のカスタマイズというのは難しく、ある人のランキングと別の人のランキングが異なるということは当然に発生します。投票制にするという方法も考えられますが、投票制にすると、ユーザ数が増えるほどそれがリンクの数と変わらなくなるという問題が出てきます。さらに、アルゴリズムと比較しても、検索精度がそれほどよくなるかは微妙ともいえます。なぜなら、現在のアルゴリズムはリンクの多さで評価しているためです。カスタマイズのなかで多くのユーザの意見を取り入れるほど、結局は一般的な答えと変わらなくなってしまいます。

ソーシャルグラフを活用した検索結果のメリット・デメリット

ソーシャルネットワークを使った検索サービスには、様々なパターンがあります。例えば、これから料理について勉強したいがどのページを参考にすればいいか分からないという場合、料理が得意な人(ユーザ)と自分をつなげておくことで、その人の料理に関する検索結果が自分の検索結果に影響を与えることになります。過去にその人が閲覧したWebページが自分の検索結果に表示されるようになるわけです。このように、他人の知見を取り入れて検索結果を変えるのが、人のつながりを活用したソーシャル検索という技術です。

ソーシャルネットワークを使った検索サービスに関しては、議論がなされています。例えば、料理好きのユーザが10人ほど集まったコミュニティに自分が参加し、コミュニティ内のユーザたちが過去に検索したものが、自分の検索結果に反映されるとしましょう。10人程度であれば、きっと料理好きばかりが集まっているはずなので、満足できる検索結果になるかもしれません。

でもそれが大規模ともなると、満足できる検索結果になるかは疑問です。10,000人規模になると、コミュニティの全体の質が下がることが予想され、検索結果の質も一般のWeb検索と同等あるいはそれ以下になるかもしれません。

このように、コミュニティとつなげて検索結果に影響を与えるものは、コミュニティの質によって検索精度が左右されるわけです。結局、小さなコミュニティでニッチな情報を対象とするバーティカル検索であれば有効かもしれませんが、そのコミュニティの規模が拡大する、あるいは検索領域が広がるほど、検索精度が落ちていくという問題が出てきます。

また、先ほどの例で考えると、料理が得意な人だからといって毎日料理のことを検索しているわけではないはずです。そうなると、そのつなげたユーザのどの範囲までを検索結果に反映させるかが問題になります。このように、単純に24時間・356日同じ話題を検索するわけではないので、それを検索結果に反映させると不具合が出てきます。

かつてYahoo!では、ソーシャル検索=人のコミュニティを使った検索技術を取り入れようとしていました。しかし、その中軸となるはずであったであろう「Yahoo!360°」というSNSサイトは閉鎖してしまいました。

Googleでは、ユーザ評価を取り入れることを試験的に実施しています。2007年12月と2008年7月に「Edit search results」というものを行い、一部のユーザだけを対象に、検索結果に表示されたリンクの順位を変更できるようにしていました。

検索結果画面の各リンクに表示されている矢印のアイコンをクリックすることで、検索結果として関係ないと思われるものを非表示にすることや、検索結果に表示させるべきリンクを追加することが可能です。ただし、これらの変更は自分だけが閲覧できるものであり、他のユーザと共有することはできません。その意味では、一種のパーソナライズド検索ともいえるでしょう。

Googleでは、もし個々のユーザが行ったカスタマイズを別のユーザやWeb検索に反映させて検索精度がより改善されるならば、共有できるようにする可能性もあると述べています。確かに、個々のユーザが自分の画面に対して行うカスタマイズが別のユーザにとっても有益かどうかは未知数といえますが、Googleはリンクだけの評価についての問題点は認識しているはずで、ユーザの評価を取り入れようという試みは模索中といえるでしょう。

今後のソーシャル検索の展望

人のコミュニティをソーシャルグラフや検索結果のカスタマイズに用いるにしても、現状では解決すべき課題があります。しかし「Q&Aサービス」に関していえば、データベースとしては魅力的なので、ソーシャル検索の展望としては明るいといえるのではないでしょうか。

株式会社アイレップ SEM総合研究所所長渡辺隆広
ライター=株式会社アイレップ 千葉哲

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