【対談】Googleの新機能やサービス、改めて考えるその影響と対策とは?(前編)

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2011年06月14日 Google,SearchWiki,表示速度,パーソナライズ検索

ここ1~2年の検索サービスを振り返っても、Googleから数々の新機能・サービスが発表・提供されてきました。そしてそんな発表がされる度に、リスティング広告やSEOの世界に大きな影響を与えるんじゃないか?と散々、業界では騒がれてきました。

でも、数日が経過してニュースへの関心が薄くなってくると誰もそれに言及しなくなるので、結局のところ本当に影響があったのかないのか、あったのならどの程度のインパクトだったのか、そして何の対策をしなければいけなかったのかがわからない ---

そんな方のために今回は、「影響あるかも!?」と騒がれたサービスを振り返りつつ、改めて影響・対策について考えてみたいと思います。

語り手:渡辺隆広(アイレップ 取締役 SEM総合研究所 所長)

聞き手:鈴木綾香(アイレップ 広報)

■ 普及せずに終了した SearchWiki

鈴木:よく検索結果のプレゼンテーション(見せ方、レイアウト、フォーマット)に変化を与えるものって、「SEOが終わりじゃないか!?」って騒がれることあると思うんですが、SearchWikiってどうだったんでしょう?

渡辺:はい、SearchWikiは確かにリリース直後はSEO的には騒がれていましたが、すでに2010年春に終了しています。もう忘れてしまった方のために説明すると、SearchWikiは検索結果に自分のコメントを残したり、(自分の検索結果の)検索順位を入れ替えたり、削除することができるような、検索結果のカスタマイズサービスでした。

鈴木:もう終わっちゃったんですね。なんでGoogleはSearchWikiを終了したのでしょうか?

渡辺:おそらく誰もSearchWikiなんて使わなかったのでしょう。検索結果を自分でカスタマイズする人なんてほんの一握りです。多くの人にとって検索は検索する場所であり、編集する場所ではない、ということです。

鈴木:そういえば、検索結果にスター(★)をつけることできますよね。あれは何か意味あるんでしょうか。

渡辺:ブックマーク的な使い方ができるのですが、あれをどれくらいの人が使っているのかよくわかりません。たいてい、固有名詞やサイト名で検索すれば目当てのサイトが1位に出てくるでしょうから、わざわざスターつける人って少数派だと思います。いずれにせよ、SEM的にはどうでもいいんじゃないでしょうか。

鈴木:わかりました。SearchWikiは騒がれたけど結局影響うんぬんの前に終わっちゃったということですね。ではウェブの表示スピードはどうでしょう?

■ 米国限定のウェブページの表示速度問題

渡辺:表示速度が快適なウェブページは、ウェブ体験的には素晴らしいからランキングを決定する手掛かり、ヒント(以下、シグナル)として使えるという話ですよね。これもSEO的に何か言われてましたが、別に意味はないですね。もちろん、SEOの話抜きにして速いに越したことはない、という話は前提として。

鈴木:そうですね、速いに越したことはないので、ここではSEO的な観点で掘り下げてみましょうか。まず、ランキングに然したる意味はないと?

渡辺:検索クエリとのレリバンシー(関連性)が低くても単純に表示速度が早かったら検索上位に表示されたところで、検索ユーザーからしてみれば迷惑なだけですよね。あくまで自分が探している情報が含まれているという前提は欲しいわけで。つまり、全く同一のレリバンシーと評価できるウェブが2つあったら速い方がいいかもしれない。それだけのお話です。

鈴木:私は広報担当なので、自社のニュースやIRの反応をよくTwitterなどで見ているのですが、ウェブページの速度改善したら順位が上がったよ!って言ってる日本のウェブ担当者の声を時折見かけますけど、あれって何なんでしょう?

渡辺:何か勘違いをしているのでしょう。まずウェブページの表示速度うんぬんの話は、米国限定の話です。日本その他の国ではランキングとして加味すらされていないので、もし表示速度改善の施策を実施した後に順位が改善したなら、きっとそれは別の要因です。もし営業的にそんな資料見せられたら、たぶんそれも勘違いでしょう(笑

そもそも、ウェブページの表示速度をランキングに反映するって、難しいお話なのですよ。たとえば米国と日本と中国の3カ国を比べてもインフラの状況はまるで違う。同じ日本といっても、フレッツ光回線もあればADSLもあれば、モバイルもある。モバイルといってもWiMAのような高速回線もあれば、64k程度の接続もある。そんな中で、表示速度という尺度でランキングを評価するって、かなり難しいのですよ。

鈴木:じゃぁ当分、気にする必要はないんでしょうか

渡辺:最初にお話した通り、速いに越したことはないので、自分で自社のサイトにアクセスしてみて、死ぬほど遅かったら改善したらどうでしょう。SEO的に考えるお話ではありません。

■ 影響の程度を知るのは難しい パーソナライズ検索

鈴木:次にパーソナライズ検索を見てみましょう。パーソナライズ検索といっても色々とありますが、ここではGoogleアカウントやCookieと紐づく、検索行動履歴のパーソナライズ検索についてお伺いします。このパーソナライズ検索は、どんな影響があるのでしょう?

渡辺:「誰が」影響を受けていると仮定するかによって話は変わるのですが、少々回答が難しい話題です。

まず、目安として1週間に3回以上検索されるクエリ*1は、(皆さんの検索結果画面で)パーソナライズされている可能性はあります。現在はブラウザのCookieベースでもパーソナライズが起きるので、日常的にGoogleを利用しているユーザーの結構な割合の検索結果は、一部がきっとパーソナライズされていると思います。

ただ、ウェブマスターが、自社のサイトがパーソナライズ検索によってどの程度の影響を受けているかを把握するのは、なかなか難しい問題です。まず、検索クエリごとの検索順位ベースでパフォーマンスを測定されている場合は、Googleウェブマスターツールやその他平均掲載順位レポートに対応した解析ツールを利用して、そのターゲットの検索キーワードの平均掲載順位を知ることで、パーソナライズの程度を知ることはできるかもしれません。しかし、所詮「平均」ですので、影響の程度はわかりません。ニュートラルな(パーソナライズされていない、純粋な、という意味)検索結果の順位状況と、レポートで参照する順位を比較して、後者の方が改善されているなら、それはパーソナライズ検索の影響をポジティブに評価していいのかも知れませんが、実際この差異が見いだせるようなケースをあまりお目にかかったことはありません。

次に、実際の検索流入をもとにパフォーマンスを計測されている場合ですが、これはさらに難しく、パーソナライズ検索の影響でどれだけ流入が積み増しされたかを測定するのは無理です。なぜなら、パーソナライズ検索の影響を大いに受けている検索クエリほど当該ユーザーによく検索されているはずであり、そういったクエリの多くはもともと皆さんのサイトを探すことを目当てに検索されているはずだからです。つまり、順位にかかわらず皆さんのサイトを訪問している、あくまで(目当てのサイトがいつもより検索上位に表示されることで探しやすくなるという)検索サービスにおける体験の向上に過ぎず、ウェブマスター側がその影響のメリットを受けているとは考えられないのです。

鈴木:な、なるほど、結構込み入ったお話になるのですね。つまり、影響はきっと出ているはずだけど、定量的にそれを知ることはできない、ってことなんですかね?

渡辺:はい、定量的に影響は測るのは難しいのかと。ただ、上記のお話は検索行動履歴ベースのパーソナライズ検索に関するお話で、すべてのパーソナライズ検索がこういう状況ではありません。

鈴木:と、いいますと?

渡辺:例えば、IPアドレスによる検索場所に基づいた検索結果のカスタマイズは、一部の検索クエリでは大きく影響しているはずです。たとえば英会話学校や料理学校などの各種学校、クリーニングやガソリンスタンド、コンビニなど、地域と密着するビジネスですね。これは、札幌市と東京23区内と福岡では検索結果の上位がGoogleプレイスの表示により全然違うので、トラフィックの影響は出ているはずです。

鈴木:なるほど!よく理解できました!話題になるイコールSEOに影響があるとは限らないんですね。やはりリリースからの動きにも注目ですね。早速みんなに共有しなくっちゃ♪

次回は「Googleの新機能やサービス、改めて考えるその影響と対策とは?」後編です。

アイレップ 取締役 SEM総合研究所 所長 渡辺隆広

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