MozCon 2015 速報レポート [1] How To Do Content Strategy (Probably)

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2015年07月17日 

2015年7月13日から15日にかけて、デジタルマーケティングのカンファレンス MozCon 2015 が開催された。今回はその講演の一部を紹介する。第1回は、コンテンツ戦略の第一人者・Kristina Halvorson氏によるコンテンツ戦略のスピーチだ。いまでこそコンテンツマーケティングやコンテンツ戦略といった言葉は SEO の世界でもよく知られた話題だが、彼女は2009年に Content Strategy for the Web という当時唯一この話題を扱った書籍を出したことでも知られている。

Kristina 氏は2009年に書籍を出版した時に、コンテンツ戦略の定義をシンプルに "Content strategy is the practice of planning for the creation, delivery, and governance of useful, usable content." と定義していたという。しかし、後にデジタルマーケティングにおいてコンテンツへの取り組みの重要性が認識され、多種多様な企業や個人が取り組み始めたことから、2012年に改訂版を出版した時には1ページを割いて多くの説明を書き加えたという。なぜなら、コンテンツマーケティングという言葉が一人歩きし、それの意味することが「コンテンツを(とにかく)作り続けること」と誤った認識が広まることを彼女は危惧したからだ。

「適切なコンテンツマーケティング」を実行するためには、それを司るための「戦略」が重要であることを、Kristina 氏は熊が魚を食べるメタファーを用いて端的に説明する。

熊が生きていくために魚を捕って食べたい状況を仮定するならば、その「目的」(Goal)は魚を得ること、それを狩るための「戦略」(Strategy)は魚が泳いでいる川に入ること、そして「戦術」(Tactic)は(魚が泳いでいるほうに向けて)口を開けて、タイミングを待つこととなる。もし戦術が欠けてしまうとどうなるか。Kristina氏は写真を見せながら「草原のなかで空を見上げながら口をあけ、魚が降ってくるのを待っているような、そんな状況が生まれてしまう」と説明し、会場の笑いを誘った。

つまり、コンテンツマーケティングに取り組むのであれば、「何」を作るかだけでなく、その「理由」、届けたい「メッセージ」、それを「誰に」届け、届けた後に「どうするのか、どの程度の「頻度」で発信するのか、といったことまで考えて実行しなければ何の意味もないと指摘する。

こうした事情を踏まえて、成功するコンテンツ戦略を組み立てるには何が必要か。Kristina氏は「評価・分析と戦略」(Assessment, Analysis, and Strategy), 情報設計と編集(Architecture and Editorial)、実行(Implementation)、そして維持管理(Maintenance)の4つを挙げた。

評価・分析と戦略とは、サイトの現状分析を行うとともに、戦略を明確に定義することだ。ここでいう定義とは「コンテンツを適切なユーザーに、適切なタイミングで、適切な場所で届ける」といった一般的なことではなく、たとえば「Webサイトをリード獲得のための主要なプラットフォームとする」といった具合に、具体的にかつシンプルに定義することだという。事業目標を明らかにし、そのための戦略を定義することで、単にコンテンツを「作る」だけの作業から解放することができる。

2点目の情報設計と編集とは、コンテンツを通じて届けるメッセージの定義や、取り扱うコンテンツのトピックマッピング(話題の整理)、文章スタイルやページデザインなどを目標にあわせて定義することだ。重複するコンテンツ、時代遅れのコンテンツ、どうでもよいコンテンツの3つはよく生まれがちなので、これらを排除するための編集方針も重要となる。

3点目の実行と4点目の維持管理とは、組織のなかでコンテンツマーケティングを継続的に実行するための体制を整えるとともに、そのワークフローや品質制御や管理のための枠組みを整えることを指す。

最後に彼女は、コンテンツ戦略を日常に浸透させていくためには、事業目標や戦略、対象とするオーディエンスのニーズなど様々な要素を俯瞰的に眺めて、1つずつ具体化していけるかどうかにかかっているとして、話を締めくくった。

執筆:株式会社アイレップ フェロー SEM総合研究所 所長 渡辺隆広

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