2016年SEO展望 結局、外部リンク対策は不要?それとも必要?
株式会社アイレップ SEM総合研究所 所長 渡辺隆広

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2016年01月26日 

昨今、SEOではコンテンツが重要だと言われているが、外部リンクが不要なわけではない。正確には「人工リンク」が不要なのであって「外部からの自然なリンク(≒Google が評価したいリンク)」は依然として重要である。表面的にコンテンツだけ用意しても、それに伴う評判が得られなければSEOの目的は達成できない。

3年前と比べたら外部リンク販売業者は減ってきたものの、今度は「これからはコンテンツがSEOに重要なのです」といってゴミのようなクソコンテンツを売りつけるだけの業者が蔓延っていて、何だかなぁという気持ちの昨今です。ところで、コンテンツの重要性は叫ばれるようになったものの、外部リンクは不要なのでしょうか。それとも2016年以降もSEOを推進する上で検討しなければいけない要素なのでしょうか?

市場の変化を伝える「コンテンツSEO」という言葉

最近は「コンテンツSEO」なる言葉などに代表される通り、SEOの世界でもコンテンツの重要性が再認識されるようになっています。もっとも、本質的にSEOというのは検索を通じてコンテンツの露出(発見性)を高めるための手段である、つまりコンテンツがあることが大前提の手法ですから、あえて“コンテンツ”を頭につける必要ははありません。とはいえ、その“コンテンツ”をあえて強調しなければならない市場の事情、背景も十分に理解できます。

その背景とは、Google がパンダアップデート(2011年)を発表して、コンテンツの品質を十分に評価する姿勢を鮮明に打ち出すようになる前までのSEOの世界は、(コンテンツSEOに対比させるなら)「外部リンクSEO」、つまり外部リンクの制御を主体に自然検索順位を改善・維持する手法が市場全体では主流だったことにあります。たとえば2010年時点における日本のSEOサービス市場は、99%くらいは外部リンク対策による成果報酬型SEOサービスを提供する事業者で占められていたのではないでしょうか(※Webサイトの情報構造設計やナビゲーションの整理といったいわゆる「内部施策」に相当する仕事をエージェンシー側でまともにこなせる企業は当時、数えられる程度しかいなかったことを考えると、99%というのは大げさではないと思います)。つまり、従来 SEO=外部リンク対策と認識していた市場に対して、これからはコンテンツが重要な時代なんですというメッセージを明確に伝えるためには、確かにコンテンツSEOという表現を用いることは理に適っているかもしれません(※後述するような誤解を生む、3年後も生きている言葉とは思わないので私は使わない、使うなら本稿のようにネガティブな意味で使います)。

外部リンク対策は、必要ない?

Google がユーザーエクスペリエンス(以下、UX)やユーザーの行動情報もシグナル(検索順位を決定するために用いる手がかり)としてランキングに加味するようになっている今日、コンテンツの品質全般、回答としての有用性がSEOを推進する上でも十分に検討されなければならないという点においては多くの方が同意をするところでしょう。では、あたかも過去の遺物かのように扱われている外部リンクは、今後は不要なのでしょうか?Web担当者はもう、外部リンクのことなど考慮せず、ひたすらコンテンツを充実させていくことにリソースを振り向けていけばいいのでしょうか?

今回は、SEOの施策レベルで大きな転換点を向かえた昨今の状況を改めて整理してみましょう。2016年以降のSEOの方針や戦略を考えるために、現状を理解することも大切なことです。

検索エンジンは、第三者評価要素としてリンクを考慮する

Google はPageRank 、つまりインターネットのWebページ間で張り巡らされているハイパーリンクを解析してWebページの重要度(importance)を評価し、それをオーガニック検索に反映させるアルゴリズムを商用インターネット検索サービスに投入したことで知られています。

PageRank という検索技術が画期的だった点は、Webページの重要度を決める上で、外部から張られているリンク、つまり「第三者による人気投票」を取り入れた点です。あるページの情報を評価するためには、(1)その情報が掲載されているページ(Webサイト)自身を評価する、(2)その情報の書き手を評価する、(3)その情報について何らかの言及・参照をしている外部のリソースを評価する、という方法があります。Google が誕生する前は、(1)の方法しかありませんでした。PageRank により(3)を取り入れたわけです。ちなみに(2)はいわゆるオーサーランク( Author Rank )という奴ですが、Google も未だ試行錯誤しているところですね。

また、あるジャンルにおいて皆に支持されているWebサイト、権威があるとされるWebサイトというのは大抵、有用で充実したコンテンツを保有していると同時に、外部から多数の言及や参照を受けているものです。ユーザーの間で評判が良い、そのことを知りたかったらみんながそのWebサイトを訪問しているのに、外部からの参照リンクがほとんどないようなWebサイトというのは、まずあり得ません。そういった理由からも、Webサイトの重要度や信頼度を推し量る上で外部からの参照リンクそれ自体は評価対象から外すことは出来ません。

以上のようなインターネット検索技術の背景を理解していただくと、SEO視点でいう外部リンク施策それ自体は現在も必要であることがおわかりいただけるかと思います。PageRank が考案された当時と比べてはるかに多数のシグナルが検索順位決定プロセスに取り入れられていますから、アルゴリズムのシステム全体における外部リンクの相対的な重要性は低下していると思います。検索クエリの種類や目的によっては外部リンクの要素がほとんど影響していない検索結果画面もありますが、それでも、一般的なWebページの重要度を算出する上で外部リンクの指標は未だ欠かせないものであり、SEOの担当者は外部からの自然リンクをどのように獲得していくのか、ネットにおける自社サイトの評判(Reputation)をどのように構築していくのか考えなければいけないのです。

自然リンクを獲得する戦略自体は必要

正確に言うと「人工リンクの時代は終わりつつあるけれども、外部リンク自体は重要であり、検索エンジンが評価してくれるリンク、つまり自然リンクをどのように獲得していくのか自体は2016年もSEO担当者は考えていかなければならない」ということです。

コンテンツSEOという言葉を「外部リンクでSEOする時代は終わった、これからはWebサイト内部のコンテンツを充実することで検索順位を上げていく時代です」という意味で解釈しているのであれば、大きな誤解です。「キーワード『●●●』を含むページを▲▲ページ作って欲しい」などといった方法でSEOをやっていても、何の解決にもなりません。

自然リンクだからといって、ただ増えるのを指をくわえて待っていろというわけではありません。自然に第三者が参照や言及をしてくれる、参照したくなる、あるいは、参照しやすいようなコンテンツの開発や提供、技術的な仕組みは十分に検討の余地があります。

この自然リンクを獲得するための施策を考えるためには、ユーザーはどういった文脈・理由でリンクを張るのかをよく分析することです。Google Search Console やOpen Site Explorer、Majesticといったサードパーティーの外部リンク解析ツールを使う時に、その数や一覧を見るだけでなく、一つひとつのリンクがどういった動機・文脈でリンクに至ったのかを考える習慣をつけてみるとよいでしょう。かつてWeb解析で参照元キーワードが見えた時代では、一つひとつのクエリを見て、その背後の意図を考えた経験がある人がいるかもしれません。それと同じように、リンク一つひとつも(自分で用意した人工リンクはさておき)自分の意図しないもの=自然なリンク一つひとつにも、何らかの理由があるはずです。自分のWebサイトに現状集まっている自然なリンクはどういったものか、同業のWebサイトにはどんな自然リンクが集まっているのか、自社と他社との差異はなぜ生まれているのかを考えると、どういった施策を行うことで自然なリンクが増えやすくなるのか、アイデアがみえてくるのではないでしょうか。

※自然検索順位を改善・維持するために必要なコンテンツというのは、Webサイトの評判を確立するために必要なコンテンツ、第三者からの参照・言及を受けるために必要なコンテンツ、検索クエリの意図に合致する、検索課題を解決できる回答としてのコンテンツ、といったいろいろな意味合いを含んでいます。


執筆:株式会社アイレップ SEM総合研究所 所長 渡辺隆広

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