新しいパラダイム:検索における5大変化 SearchLove London 2015

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2016年02月23日 

新しいパラダイム:検索における5大変化
(New Paradigms: Five Fundamental Changes in Search)

■スピーカー
トム・アンソニー(Tom Anthony)、Distilled(Webサービス会社) 、研究開発チーム所長

■アジェンダ
次の5つの観点から検索の世界に起きている変化について説明する。
1.インプリシット(implicit:潜在的)シグナル
2.複合クエリ
3.キーワードVSインテント
4.Web検索からデータ検索へ
5.パーソナルアシスタント

以下より、アジェンダに沿って各変化について詳細を述べる。

1. インプリシットシグナル

「ロンドン チューブ 駅」という検索クエリの場合、「ロンドン チューブ 駅」というのはクエリの顕在的側面である。もしこの検索クエリを入力したのがロンドンの道路にいるiPhoneユーザーの場合、「iPhoneユーザー、ロンドンの道路」は、クエリの潜在的(インプリシット)な側面となる。

以下は、インプリシットシグナルの代表的例である。

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図1:インプリシットシグナルの代表的例
図1:インプリシットシグナルの代表的例

昔はサンディエゴのKinko’sを探している場合、検索クエリに「Kinko’s ダウンタウンサンディエゴ」と入力していた。現在、人々はサンディエゴにいたらただ「Kinko’s」と入力して検索する。
⇒今ではユーザーはGoogle が彼らのインプリシットシグナルを理解してくれるだろうと期待しているため、ほんの少しの情報を検索ウィンドウに入力するのみとなった。

インプリシットシグナル例を下記に紹介する。

① ウェアラブルデバイス(Android の行動認識機能)

この機能によりユーザーが歩いているのか、自転車に乗っているのか、運転しているのか等の現在の行動が認識できるようになった。ユーザーが徒歩の場合、レストランと入力したら半マイル(約0.8km)程の距離内にあるレストランを表示する。一方で、ユーザーが車で移動する場合はより広い範囲内にあるレストランを表示する。

② ハイパーローカルシグナル(インプリシットシグナルの一つ)

Bluetoothやビーコンなどを活用して正確な現在地を把握し、それに合わせた検索結果を表示してくれる。ユーザーがレストランに入ったとする。ビーコンはそれを認識することができ、メニューを表示してくれる。GPSはそこまで正確ではない場合がある。

③ Google Glass

街角の案内板や標識の情報を読み取って翻訳してくれる。

インプリシットシグナルはGoogleが検索結果に何を表示するかを決定する一つの大きな要素になりつつあることを認識しておく必要がある。

Google 創始者セルゲイ・ブリンの言葉に、「15年前にGoogle を始めた時の私の予測は、人々は徐々に検索クエリを入力しなくなるというものだった。」というものがある。Google Now はこれを実現するためのテクノロジーの一つである。エクスプリシットなクエリが減少すると共にインプリシットシグナルは拡大し、更に複雑なクエリと更に細分化された検索結果を増加させる。

※執筆者注:さまざまなインプリシットシグナルがあるが、自分のビジネスに影響するシグナルは何であるかを理解しておく必要がある。たとえば歯科医であれば、ユーザーの位置情報が重要なインプリシットシグナルになり得る。

2. 複合クエリ

ハミングバード (Google のアルゴリズム)を用いて、検索が行われる際に全ての情報を調べ上げ、見つけた答えをユーザーに提供する。

音声検索機能( OK Google )を使用した検索は、最初のクエリの内容に追加される形で二度目のクエリの検索結果が表示される仕組みになっている(最初のクエリに依存している)。

  • 例①: Q1 「オリンピック選手のリストを見せて」
    Q2 「女性を見せて」→オリンピックに出場する女性選手が表示される
  • 例②:Q1 「タワーブリッジはいつ建てられた?」
    Q2 「高さは?」→「タワーブリッジの高さは?」に自動的にクエリが変更される

※執筆者注:いずれも、Q2のクエリはQ1のクエリを踏まえることでインテント(検索意図)が決定される。相互に関連するクエリが増加したことにより、クエリ単体でインテントを把握することは難しくなっており、したがってキーワード調査も難易度が増している、という意味

この変化を図式化すると次の通りとなる。

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図2:OLD MODEL(参照元:Tom Anthony-‘New Paradigms : Five Fundamental Changes in Search by Distilled, Speaker Deck、アイレップ訳)
図2:OLD MODEL
(参照元:Tom Anthony-‘New Paradigms : Five Fundamental Changes in Search by Distilled, Speaker Deck、アイレップ訳)

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図3:NEW MODEL(参照元:Tom Anthony-‘New Paradigms : Five Fundamental Changes in Search by Distilled, Speaker Deck、アイレップ訳)
図3:NEW MODEL
(参照元:Tom Anthony-‘New Paradigms : Five Fundamental Changes in Search by Distilled, Speaker Deck、アイレップ訳)

複合クエリはファセット検索(絞り込み検索)のようなものである。

ファセット検索(絞り込み検索)とは、ユーザーがWebサイト内検索をしたりコンテンツを選ぶ際に、あらかじめユーザーに使いやすいだろう検索条件をWebサイト側が用意しておき、ユーザーがそれを選ぶだけでコンテンツを絞り込んでいけるナビゲーションのことである。

※執筆者注:一つのクエリだけを見てもわからないが、複数のクエリのつながりを見ることでユーザーの意図が絞り込まれる、という意味で複合クエリをファセット検索と似ていると述べている

・ファクト
クエリはもはやインテントのシングル表現ではなくなっている。複数の段階で様々なクエリが混ざり合いながら構成されていく。

※執筆者注:講演者は複合クエリの影響について詳細を語っていないが、クエリ一つひとつを単体で考えるのではなくて、一連の検索行動の前後の文脈を踏まえて考えていかなければならない、ということを伝えたいと思われる。

3. キーワード中心からインテント中心へ

キーワードとインテントの5年間の検索ヒストリーについて述べる。

キーワードがそのままインテントを表すのではなく、キーワード(入力された文字列)、複合クエリ(クエリ同士のつながり)、インプリシットシグナルの組み合わせでインテントが構成されている。

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図4:かつてのインテントの構成(引用元:Tom Anthony-‘New Paradigms : Five Fundamental Changes in Search by Distilled, Speaker Deck)
図4:かつてのインテントの構成
(引用元:Tom Anthony-‘New Paradigms : Five Fundamental Changes in Search by Distilled, Speaker Deck)

図4は古い考えであり、現在は、

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図5:現在のインテントの構成(引用元:Tom Anthony-‘New Paradigms : Five Fundamental Changes in Search by Distilled, Speaker Deck)
図5:現在のインテントの構成
(引用元:Tom Anthony-‘New Paradigms : Five Fundamental Changes in Search by Distilled, Speaker Deck)

図5のように考えていかなくてはならない。

・ファクト
インテントはただの「より良いキーワード」ではない。それは潜在的シグナルによって決定づけられ、複数のクエリにまたがる。
例:
Q1「マリオの写真を見たい」→ゲームのマリオが表示される
Q2「FCバイエルンミュンヘンでプレイしている選手は?」
Q3「マリオの写真を見たい」→FCバイエルンミュンヘンでプレイしているマリオ・ゲッツェの写真が表示される

  • ★まとめ
  • あなたはWebサイトのどのランディングページがどのインテントに対応しているか理解していますか?

※執筆者注:検索から流入し得るページは、どういったインテントのユーザーを想定しているのか、明確に答えられるかどうか。つまり、どういった「キーワード」の流入を想定しているか、ではなく、どういった「インテント」の流入であるかまで考えているかどうかが大切だと述べたいのだと思われる。

4. Web検索からデータドリブン検索へ

・Web検索からの脱却
エンティティ(物事に関する事実)を集めたデータベース(Google のナレッジヴォールト。ナレッジヴォールトはGoogle が行っている知識ベースの研究の一つであり、実用化に向けて開発を進めているわけではない)を作成中。
他の例:ダイレクトアンサー(フィーチャースニペット)、Google Now 、App Indexing やディープリンクなど、検索は変化を重ねてきた。
Google の注力分野である検索市場は、ブラウザからアプリへと変化を遂げてきた。次はどこに向かっているのだろうか?

・クロスデバイスタスクと検索
ユーザーの90%がタスクを完遂するために複数のスクリーンを使用したり、スクリーンの共有を行う。
例:Apple HandoffはすべてのAppleのデバイスをつなげることができる。どのデバイスでもデータの参照が可能になっている。また、スマホ画面をウェアラブルデバイスでも簡単に見ることができるようになった。

こういった上記のトレンドはマシンラーニングと関連性が深い。アルゴリズムがマシンラーニングベースになっていくうちに、アルゴリズムはGoogle にとってもブラックボックスとなってしまった。

5. パーソナルアシスタント

Google のミッションとは、究極のアシスタントを構築することにある。それらは、パーソナルインデックス=写真、カレンダー、デバイス、E-mail、E-mail構築マークアップなどである。

全ての検索のためにシングルインターフェースを使うことが理想的といえる。インターフェース(※)はGoogle だけが開発しているわけではない。マイクロソフトの音声認識機能Cortana(コルタナ)やSiri、FacebookのM、SoundHound社のHound等も開発されている。

※ここでは特にユーザーインターフェースのことを指している。ユーザーインターフェースとはコンピューターとその機会の利用者の間での情報をやりとりするためのもの

・私たちは「ポストPageRank 」の世界に生きている。

  • ★まとめ
  • 1. インテントは、ただのより良いキーワードといった類いのものではない。インプリシットシグナルと複合クエリの双方を考慮しよう。
  • 2. データドリブン検索の時代が来る。準備するためにどんな手順を踏むのか考えなくてはならない。
  • 3. 「パーソナルアシスタント」(Google Now、Siri、Cortana等)の出現はチャンスである。他の軸を最適化しよう。

※執筆者注:最後のまとめも抽象的なので補足すると、1. ユーザーの検索意図を理解するためには、明示されたキーワード(文字列)だけではなく、見えないシグナル(インプリシットシグナル)も考慮していかなければいけない、2. データドリブンに基づいて様々な検索の新機能が登場してくることが予想される。そのため、自社にとって重要な機能については対応の要不要を判断した上で、対応方法を検討していかなければならない、3. Google Now やSiriによって(インプリシットシグナルによる)検索は増加していくことになり、それに伴い新たなユーザーとのタッチポイントが拡大する可能性もある、という趣旨を述べていると思われる。


執筆:株式会社アイレップ ソリューション統括本部 SEOグループ 石毛宏美
監修:株式会社アイレップ SEM総合研究所 所長 渡辺隆広

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