モバイルSEOなんて、ありません。情報の評価とその閲覧性の話

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2016年12月06日 

「スマホのSEO対策を教えてほしい」「モバイルSEOは何をすればいいのか」といった相談は多いのですが、モバイルの操作性や閲覧性(モバイルフレンドリー)の話を除くと、本質的に SEOはデバイスに依存・左右されるものではなく、すべきことは同じです。

スマホが主流のデバイスになるに従い、モバイルSEOの最新動向が知りたい、スマホSEOの方法を教えて欲しいといった相談をよく受けるのですが、本質的にSEOはデバイスと関係がありません。

インターネットの世界はPCを中心に広がってきましたから、世の中の大半のウェブはPCの閲覧を想定して制作されてきました。そこへさまざまな(PCと比較して)特性や制約のあるスマートフォンというデバイスが登場したため、検索エンジンは優れた検索体験を提供するうえで次の3点を考慮する必要が出てきました。

1. ページの重要度や信頼性の評価
2. 特定のデバイスにおける操作性や閲覧性
3. デバイスごとに別のWebサイトを作った場合の対応

2つ目がいわゆる「モバイルフレンドリー」と呼ばれる領域です。しかし「操作性や閲覧性」と書いた通り、これは本質的にユーザーエクスペリエンスの観点から解決していくべき問題であって、SEO(検索エンジンと向き合う)の問題ではありません。

1つ目――きっと多くの人が「モバイルSEO」に求めているであろうこと――のページの重要度や信頼性の評価は、デバイス非依存の、検索エンジンが常に解決していくべき普遍的な課題です。たとえば、あなたの子どもがある日の夕方、ひどい高熱を出したとして、翌日の朝に病院に連れて行くにしても、その晩にとりあえずできる措置がないかインターネットで医療情報を探したいとします。このとき、どのデバイスから情報探索を行おうと、求める情報の有益度や信頼性に違いはないはずです。スマホから検索しているからPCからの検索より情報の信頼性が落ちても構わないと考える人はいないでしょう。

同様に、週末に家族で食事に出かけるにあたりお店を探すうえでも、その検索がどのデバイスで行われようと求める情報の質・量に違いはない、妥協はしないはずです。

SEOを推進するということは、ネットでの評判を構築し、(ユーザー=人からは無論のこと)検索エンジンに優れたWebサイトであると認識してもらうための継続的な取組みであり、検索エンジンフレンドリーにするための施策の連続です。同時に、検索ユーザーの意図を汲み取り、それに適した、疑問や課題を解決するためのWeb閲覧体験の提供を続けていくことでもあります。いずれにせよ、それらはデバイスの違いに影響を受けるものではありません。あえていうなら、モバイル特有の利用シーンにあわせてコンテンツの提示方法を変更していくことが求められますが、それは検索エンジン対策の範疇ではないと思います。

Google が提唱する「モバイルフレンドリー」に関連するアルゴリズムというのは(私は過去に何度も繰り返し述べていますが)本質的にSEOの話ではなくてユーザーエクスペリエンスの問題です。実際、2015年4月21日のモバイルフレンドリー関連ニュース発表以後、モバイルフレンドリーはほとんど話題にならないですよね、単にGoogle が煽っただけだというのが個人的な感想です。

3つ目に挙げた、別Webサイトを構築した場合は、その情報の関連性(主と派生の関係性)を検索エンジンに明示するための作業が必要で、これは検索エンジンのための施策ですからSEOと呼んでいいかもしれません。ただ、あくまでページの関係性を明確にするためのアノテーションの記述の話で、ルールと実装方法決めればいいので難易度が高いわけでもありません(誰でもできること)。

重要度評価を行う上でモバイルに限定する合理的理由はない

「モバイル検索ならモバイル向けページの評価を使うのが当然でしょう?」「モバイル検索のランキングにPC向けページの評価が使われることに違和感あるよね」といった意見もありますが(よく質問されます)、ページの重要度を判断するうえでモバイル専用のシグナルを利用することの合理的理由はありません。

情報の重要性や関連性を判断するためのシグナル自体がデバイスに依存していないのですから、むしろ、モバイルに限定したシグナルを利用することが非合理的といえます。

Webを利用する私たちがある情報に価値を見出してなんらかのアクション(シェアをする、参照リンクを張る、クリックをする、など)を起こすとき、そのアクションはデバイスと関係ないですよね。たまたまリンクを張った、シェアをしたデバイスがスマホやタブレットだっただけであり、PCだったらシェアしない・クリックしないなんてケースはないでしょう。PCからシェアされるよりもモバイルからシェアされた数が多いからといって、その内容はPCユーザーには関連性が低いといえるのでしょうか。あるいは、あるモバイルページに対して、PC用のページからのリンクが1本とモバイル用のページからのリンクが1本あった時、その両者にデバイスという観点から評価を変更する理由はあるのでしょうか。ないですよね。

先述した通り、閲覧性や操作性の判断をするためのシグナルはありますが、それは情報の重要度や権威性の判断とは異なるレイヤーです。

しつこく繰り返しますが、デバイスの違い、すなわち利用シーンの違いにより求めるコンテンツの性質は異なれど、求める有益性や専門性は先に述べた通り違いはありません。

情報そのものの重要性を判断することと、その情報の閲覧性を判断することがまったく異なる問題であるとわかれば、「スマホ専用のアルゴリズム」「スマホ専用のインデックス」といった発想がそもそも見当違いであることがお分かり頂けるかと思います。(本当にしつこく繰り返しますが)情報それ自体の評価を行う上でデバイスは関係ありません。

また、デバイスという軸で重要性の判断の意味がないとわかれば、今後、新たなプラットフォームやデバイスが登場しても、Webサイトの価値や評判を高めるための施策においては今までと何一つ変わらないということも見えてくるでしょう。

アプリ検索とWeb検索

アプリ検索は、Google Play とApp Storeというそれぞれ(Webと独立した)アプリ配信プラットフォームなので、そのエコシステムに基づいて検索システムを開発するわけですが、やはり難しかったわけです。MicrosoftもAppleもいくつかのアプリ検索スタートアップ企業を買収していますが、今日のアプリ配信サイトの出来具合を見ると、お世辞にもうまくいってはいませんよね。

Google はWebとアプリの垣根を取り払い、アプリ(Web)の利用を促進するためにApp Indexing を開発したり、アプリをストリーミング配信したりといった様々な試行錯誤をしている段階ですが、やはりアプリという閉じた世界の情報を評価するのは難しいのです。

モバイルSEOの質問や相談というのは5年経過しても(App Indexing やAMP など最新技術を除くと)何一つ変わっていないんですね。言い換えれば、何年経ってもモバイルSEOが理解されていない(まぁSEO自体が理解されてないんですが)わけですが。誰もこういったことは説明もしなければ、SEOに関心がある人もこういった本質的な話に関心を持たないことも要因なのでしょうか。

(執筆:株式会社アイレップ SEM総合研究所 所長 渡辺隆広)

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