アンカーテキスト最適化 ベストプラクティスの歴史(2000~2016)

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2016年07月26日 

アンカーテキスト一致率100%で問題なかった2001年前後

2001年――Google のPageRank のロジックが広く知れ渡り、今日でいう人工リンクの生産が始まった当時――、SEO業界ではこのアンカーテキスト一致率は(今では信じられないかもしれませんが)「90-100%」が推奨されていました。当時は検索エンジンスパムが今日ほど認知されていなかったこと、Google もリンク操作に関連するスパム排除の仕組みを持っていなかったこともあり、やりたい放題だったわけです。特に当時は、リンクの関連性は問われない(注1)、サブドメインからのリンクも別ドメインからのリンクとほぼ同等に評価されていたので、たとえばサブドメインを100万個作成して、そこからリンクを張っている会社も現れました。

注1:さすがにこれはSEO関連のコミュニティで問題視され、最終的にGoogle が自然検索結果から除外した記憶がある。

※当時のGoogle はリンクでつながったページ同士の関連性は一切考慮しなかった。そこで「Google キラー」として検索市場に現れたのがWiseNutとTeomaの2社で、どちらもリンクの関連性を考慮するアルゴリズムを採用していた。

※時代背景についてもう1点補足すると、いわゆる今日でいうペナルティという概念が認識されるのは、次に述べる2003年後半から翌年にかけて実施されたフロリダアップデート以後。

外部リンクスパムの排除に取り組み始めたフロリダアップデート

こうしたスパムリンクの氾濫にメスを入れたのが、2003年から2004年にかけて実施されたGoogle の大規模なアルゴリズムアップデート(Florida / Austin / Brandy Update)です。このアップデートのなかで、特定のページに向けて特定の文字列を含むリンクが過剰な場合、スパムと判断して当該文字列(=キーワード)の検索順位を落とす仕組みが導入されました。この結果、SEO業界で推奨されるアンカーテキスト一致率の割合のベストプラクティスは上に示したスライドで示す通り、「70%未満」となりました(注2)。

注2:70%で危険水域、75%を超えたらアウトというのが当時の専門化の間での見解。また、先の注で触れたWiseNutとTeomaと同様にリンクの関連性を考慮するようになったのもこの頃から。

「自然なリンクとは何か」に向けて、一致率の意味が薄れていった10年

Google はインターネットで張り巡らされているリンクを解析して、情報の重要性を計算したいだけです。したがって、自然検索順位を上昇させるためだけに設置されたリンク(=人工リンク)と、人が価値を認めて張ったリンク(=自然(発生)リンク)を適切に分類して、後者を使って重要度判定を行いたいのです。その観点からすれば、60%にせよ50%にせよ、ある程度の割合で同じアンカーテキストが含まれていれば人為的であることには変わりありません。

Google が本来実現したかったことはその後、同社のリンク解析アルゴリズムやスパム検出技術の向上、そして情報の信頼性や権威性(オーソリティ)いったさまざまな要因も考慮した複合的な関連性評価が実現可能になってきたことで、アンカーテキスト一致率それ自体が論点にならなくなってきました。特に近年はペンギンアップデートがこのアンカーテキスト一致率を厳しく評価することも影響しています。上記スライドでは20%付近を表していますが、「気にしてほしいけど、あまり気にしすぎないで欲しいレベル」とお考えください(注3)。

順位を上げたいキーワード:それ以外のキーワード=2:8

注3:20%は保守的すぎかもしれない、30%前後でいいんじゃないかという意見もある。

ちなみに2009年~2010年を境にさらにガクンと一致率が下がっているのは、その頃から「ブランド」という評価軸が考慮され始めたためです。つまり、本当に人々の間で認知され評判の良いWebサイトであれば、一定の割合でブランド名称を含むキーワードがリンクテキストに含まれているもの(感覚的にわかりますよね?)である、だから、順位を上げたいキーワードの含有率を考慮するよりも、Webサイトの評判や信頼性の観点から本質的にどうあるべきかを考えるようにシフトしてきたのです。

そんなわけで、マシンリーダブル(Machine Readable)の観点から少しは気にしてほしいのですが、無理に入れる必要は一切ない、程度の認識で構わないということです。順位を上げたいキーワードのことばかり考えるのではなく、ブランドやリンクが張られた文脈、言及などさまざまな要素も考慮すべき(=相対的に一致率云々の重要性が下がる)と捉えて頂いた方がいいかもしれません。

たとえば、Webサイト内リンクの最適化を例に挙げますと、一昔前なら(1)パンくずリストのサイトトップへのリンクを「TOP」ではなく「●●●(キーワードを表す、以下同様)TOP」にする、(2)ページ下部に、ページ上部に戻るリンクを設け、アンカーテキストに順位を上げたいキーワードを設置する、(3)Webサイト内のページからサイトトップに戻るリンクはすべて「●●●」のキーワードの完全一致あるいは「●●●」を含む部分一致にしておくといった事柄がベストプラクティスとして紹介されていたと思います。今現在、これらをすべて当時の推奨のまま実施すると「危険」ですので、たとえば(1)を実施するなら(2)はやらない、(3)は適当にするといった感じでしょう。

アンカーテキスト周りのSEO、今後はどうなる?

このグラフの推奨値が再び上昇していくことは絶対ないと断言できますが、0%に近づいていくこともないと思います。今日、アンカーテキストの一般的な使い方に変化はありませんし、ページの重要度や関連性を判定するうえで(スパムが氾濫しているとはいえ)参考になるシグナルです。ターゲットとするキーワードをどう処理するかという各論で考えるなら特段の変化はないのではないでしょうか。つまり、どうでもいいんじゃないでしょうか。

結論:アンカーテキストなんて基本はどうでもいい、程度の認識で

少なくとも自分がコントロールできる範囲(Webサイト内および外部との関係性でリンクのマークアップを指定可能なケース)においては、少しの気配りは必要です。何だかんだといっても、リンクテキストとそのリンク先ページの関連性は考慮されるからです。しかし、意識しすぎる必要はなく、「この辺だけちょっと意識しておくか」くらいで対応すると良いでしょう。ここも、あそこも、あっちもとキーワードをコントロールしていくその意識が過剰最適化に陥ってしまうからです。

基本的にアンカーテキストの一致率の割合調整なんて無駄な仕事なので、もっと有益な他の仕事に大事な時間を使ってください。


執筆:株式会社アイレップ SEM総合研究所 所長 渡辺隆広

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