Google 、モバイル ファースト インデックスを公式発表 ~SEOへの影響と今後の対応について解説~

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2017年01月17日 

モバイルファーストインデックス Q and A

以上が Google 公式ブログから発信された情報だ。以下、本件について気になるポイントや情報を改めて整理しておきたい。Google はこうした重要な発表は、公式ブログで発表をした後にカンファレンスなどで言及するようにしていただきたいところ。カンファレンスで先に触れるなら、もう少しまとまった単位の情報を発表しないと、単に業界を混乱させてしまうだけだと思う(ウェブマスターとの交流を積極的に行っているGoogleも、そうした事態は望んでいないはずだ)。

以下、私の見解に基づいた解説。

Q

結局、モバイル版専用のインデックスが作成されるの?

A

Google が公式ブログで説明する通り、インデックスは従来通り単一のデータベースとして残る。変更されるのは、モバイル ファーストになること、モバイル版コンテンツを評価し、その評価に基づいてランキングを決定するようになるということだ。

「モバイル ファースト インデックス」という新しいデータベースが作成されるのではなくて、インデックスの仕組みを「モバイル主体で考える(=モバイルファースト)」ことにする、という意味だ。

“Although our search index will continue to be a single index of websites and apps, our algorithms will eventually primarily use the mobile version of a site’s content to rank pages from that site, to understand structured data, and to show snippets from those pages in our results.”
Google 検索のインデックスは、Webサイトやアプリについての単一のインデックスとして存続しますが、将来的にGoogle のアルゴリズムはモバイル版のコンテンツを主に使用するようになります。

Q

今後、デスクトップPC版サイトはインデックスされなくなるのか?

A

デスクトップPC版も引き続きインデックスされる。ユーザーの検索環境に合わせて、最適なページを表示する。デスクトップユーザーの検索にはデスクトップPC版ページを、モバイルユーザーの検索にはモバイル版ページを表示するという検索の基本的な仕組みは引き続き維持されるので、そのためにもデスクトップPC版サイトもクロールして登録される。

ちなみに、検索の過半数がモバイルから実行されているといっても、デスクトップの検索市場が大きくシュリンクしているわけではない。モバイル検索の20%が音声検索(Sundar Pichai、2016、Google I/O)となるなど、モバイル検索は(従来は検索がなかった)新しい領域で成長している側面もある。だからデスクトップPC版検索は引き続き必要とされるし、Webサイトも必要。

Google が年間に処理する全世界の検索クエリが推定1兆2,000万(2012年時点)、1日あたり約35億クエリなので、たとえ1%の検索数低下でもインパクトはもちろん大きいが、モバイル検索数の増加分がそっくりそのままPCからシフトしているわけではない点は理解しておきたい。

Q

自然検索順位に大激震が起きるのか?

A

Google はウェブマスターに嫌がらせをするために検索システムを変更するわけではなく、あくまで「ユーザーに優れた検索体験を引き続き提供しつづける」ことにある。本変更によってその理念をぶち壊すようなことはあってはならないはずで、その意味で、優れたWebサイトは引き続き検索上位に表示されるはずである。

Google もその検索品質を担保するために慎重にテストをしながら進めていく意向を表明しているので、個人的には、全体的に見れば大した影響はないと考えている。それを踏まえて……。

“Of course, while our index will be built from mobile documents, we're going to continue to build a great search experience for all users, whether they come from mobile or desktop devices.”
もちろん、Google のインデックスがモバイル版のコンテンツで形成されるようになっても、デスクトップPC端末かモバイル端末かに関わらず、すべてのユーザーに素晴らしい検索体験を提供し続ける点は変わりません。

インデックスがモバイル優先になることで影響を受けるのは、次のようなWebサイトになるだろう。

  • ・とりあえずモバイル対応したという雑なWebサイト
  • ・デスクトップPC版とモバイル版でコンテンツに大きな違いがあるケース
  • ・デスクトップPC版とモバイル版のWebサイト構成が 1:1になっていない場合
  • ・一部の超大規模Webサイト

Google が2015年4月に導入したモバイルフレンドリーの評価シグナルに合わせて、なんちゃってモバイル版サイトを用意したような、雑なつくりのWebサイトといえばいいだろうか(身に覚えのある担当者もいるのではないか……)。モバイル版への自動変換サービスを利用している場合も、そのサービス仕様によって影響を受ける可能性がありそうだ。

「モバイル版のコンテンツが評価されるようになる」のが肝なので、2番目や3番目にあげたように、掲載するコンテンツが大きく異なる場合、1:1 になっていないWebサイトはいくらか影響を受けることが予想される。

モバイル版を「単なるデスクトップ版の省略版」と捉えて、単に情報を削除して軽くしただけのモバイル版がその(影響を受ける)典型例となるのではないか。あるコマースサイトは、モバイル版では何故か製品仕様やユーザーレビューがごっそり削られている。コンテンツがないのだから、対応する検索クエリでの流入が大きく落ちることになるだろう。

もっともGoogle は(海外のカンファレンスなどで)再三にわたり「重要なコンテンツなら、モバイル版も用意せよ」とウェブマスターに注意喚起をしてきたし、もっともなアドバイスでもある。モバイル対応することが目的化して、ユーザーに必要な情報を届けることを怠った結果ではあるが、幸いまだ時間はあるので、ユーザーを主にして改修を進めていくといいだろう。

Q

MFIは全世界で導入なのか、それとも一部の国から切り替わるのか?

A

MFIはグローバルに展開する予定。また、テストも同様にグローバルで実施していくとのこと。

図1
図2

モバイル世界に対応するための仕様変更なので、世界で一斉導入してしまうということだろう。そして事前のテストは慎重に行う必要があるので、それもグローバルに実施していく、ということだ。

Q

モバイル版サイトではコンテンツの続きを読むためにアプリをインストールするよう要求する仕様にしている。これはMFIにより影響を受けるか?

A

本件と関係なく、アプリをインストールしなければ続きが読めないWebサイトは滅びればいい。ダウンロード数増やしたいだけの企業側の都合を押しつけているだけで、ユーザーに不満を募らせるだけ。

で。本題だがブラウザでコンテンツがすぐに閲覧できない状態にあるので、モバイルファーストのインデックス移行にあわせて影響を受けるのはほぼ確実だろう。

Q

レスポンシブウェブデザインにすれば、SEOに有利と解釈していいのか?

A

本文前半の★のところで触れた通り、SEOの面倒ごとが減らせるという意味でいいかもしれないが、どういった技術・デザインを選択するかはGoogle の顔色を見て決めるのではなく、あなたのWebサイトの訪問者、ターゲットユーザーの行動に基づいて決めるべき。また、レスポンシブウェブデザインにしたからといって自然検索順位に有利になるわけではない。

Q

AMP の扱いは?モバイルファーストによる影響は?

A

AMP の扱いについてはTheSEMPostがGoogle から回答を引き出している。

I asked Google about whether these changes would have any impact on mobile pages that also have AMP versions. “Nothing changes with regards to AMP,” Phan confirmed to The SEM Post. (TheSEMPost)

AMP は一切影響しない。評価されるコンテンツはモバイル版となり、AMP のコンテンツは対象外だ。これはつまり、たとえばモバイル版コンテンツに欠けているコンテンツをAMP 版で補うという方法も使えないという意味でもある。AMP はあくまでモバイル版の高速版的な位置付けて、検索順位には関係ない。

Q

AMP のみでWebサイトを構築している。canonical(正規化)の対象もAMP だ。この場合はどう処理されるのか?

A

デスクトップPC版も、モバイル版ももっていない、AMP 版のみが存在するWebサイトの場合は、従来通りAMP ページが評価対象となり、それに基づいて自然検索のランクが決定される。

図3
図4

Q

デスクトップPC版しかWebサイトがありません。検索結果から削除されるの?

A

モバイル版がないWebサイトは引き続きデスクトップPC版をインデックスしていく意向を表明しているので、心配する必要はない。ただ、モバイルが検索の主要なデバイスにシフトしているので、リニューアルを計画してモバイル版も用意する計画は立てておくことをおすすめする。

あるウェブマスターが「仮にデスクトップPC版サイトが自然検索順位で1位に表示されている場合、MFI導入後にどんな影響がでるのか?」と質問しているが、これはモバイル版がないので、デスクトップPC版の検索順位と比較したら落ちる可能性がある。ただし、モバイル版がない場合=モバイルフレンドリーなページが存在しない場合にモバイル検索結果で順位が低下する可能性があるのは現在でも同じことであり、MFI云々は関係ない。

図5
図6
図7

インターネットユーザーがモバイルにシフトしてきているのだから、自然検索流入を重視するのであればモバイル対応サイトを構築せよ、という結論になる。

Q

ガラケー版サイトはどうするの?タブレット版は?

A

考えるの面倒だからこの際、消しちゃえば?今回は特に言及がないが、特段の影響はないと思われる。同様に、Windows Phone版サイトはcanonicalで処理すれば良い。タブレット版もcanonicalでデスクトップPC版に正規化しているはずなので、特に対応することはない。

Q

モバイル版サイトでは、一部のコンテンツは標準で非表示にしており「続きを読む」などをタップすると全文が表示される仕様にしている。これは不利になるのか?

A

ここは SEO担当者の多くがもっとも気になるポイントの1つだと思う。私もとても気になる。モバイル版コンテンツを主に考えるのであればデフォルトで表示されないコンテンツは相対的に評価が変わるはず。

同社が定期的に行っているHangouts でのウェブマスターとの交流の場で、質問が出てGary Illyes氏が回答している。

同氏によると、モバイルにおいて一部のコンテンツが標準で非表示になっていても評価に影響はないはずとの回答だ。UXのために一部を非表示にすることはスクリーンサイズの制約を抱えるモバイル世界では合理的な理由として捉えるということだろう。

図8

他のウェブマスターも改めて非表示コンテンツの扱いについて尋ねているが、「UX の理由でコンテンツが隠れていても、それは完全に評価される」と回答している。もちろん、隠しテキストスパムなど他の目的(≒特に検索エンジンを騙す)での使用はNGだ。

Google の回答に目を通していくと「モバイル世界特有の事情はもちろん考慮してランキングシステムを設計します」という基本的な考え方が透けてくると思う。こうした大きな変化がある時は、Google の発想や考え方、方向性を理解しておくと情報がすっと整理できるので、細部だけでなく全体も同時に俯瞰することをお勧めする。

Q

MFIによってモバイル版サイトのサイト内リンクも評価対象になるのか?

A

Google の意図を踏まえたら、そうなる(評価対象になる)。この点もGary Illyes氏が回答している。

同氏によると、モバイルサイトの内部リンク構成が異なっていても、評価に影響はないはずとのこと。URLディスカバリーは注意すべきかもしれないがフィード提供などで補完できると。

Q

今後はモバイル版サイトへ向けた外部リンクを新規に量産しなければならないのか?

A

この手の質問は文脈的にスパムリンクを指しているよねという話はさておき、外部リンクについて特に検討は必要ないと予想する。canonicalが引き続き使用されるということは、(異なるURLで個別にモバイル・PCサイトを運営している場合)両者のインデックスプロパティ(≒評価)は正規化により統合されることを意味する。つまりデスクトップPC版サイトが持っている外部からの評価はモバイル版で利用できる。以上のことから外部リンクうんぬんは心配する必要はないだろう。

少なくとも某サイトの「モバイル版サイトのために新規に外部リンクを集めなければならない」というのは、ありえない。

Q

アプリ開発の会社です。アプリのダウンロード数を延ばすためにWebサイトを用意したいのですが、従来は、Webサイトを持っていないならとりあえずデスクトップPC版をつくれといわれていました。今後はモバイル版をつくったほうがいいですか?

A

理屈上はモバイル版サイトを用意すればいいと思う。PCユーザーからのアクセスに「スマホからご覧ください」などと変にコンテンツ閲覧制限をしないこと。

Q

どうしてGoogle は今まで、モバイル版コンテンツを評価してこなかったの?

A

Google が創業してから世界最大の検索エンジンに成長するまでの間、デスクトップが主要なデバイスの時代だった。世界のWebの大半もそのデスクトップでの閲覧を前提に作成されてきた。当然ながら、検索アルゴリズムもデスクトップPC版を評価するように設計されてきた。

2010年~2012年、ちょうどAndroid やiOS搭載端末が普及してきた時に、モバイル版サイトも増えてきた。

とはいえ「デスクトップPC版」「モバイル版」というのは、同じコンテンツを特定のユーザーに向けてフォーマットを変更していることが本質なので、検索技術的には両者をあくまで「バージョン違い」として扱った(扱いたかった)。バージョン違いとして、アクセス元にあわせて、PCユーザーならデスクトップPC版、iPhoneならモバイル版と検索エンジン側で自動的に処理してあげたほうがいいと考えた。つまり

デスクトップ版 = Primary
モバイル版 = Secondary

として、バージョン違いの場合はデスクトップPC版に正規化する、プロパティの評価は統合するということにした。デスクトップPC版に正規化するのは、デスクトップが主流だった過去の経緯から「デスクトップPC版がもっとも情報が充実しているバージョンのはずだから」という前提に基づいている。その前提だから、Primary = デスクトップPC版を主に使用してランキングを決定してきた。

以上の話はあくまで「デスクトップが主流」という時代だったわけだが、今日はモバイルが主流になっている。だから、

モバイル版 = Primary
デスクトップ版 = Secondary

と考えたほうが時代に合っているよね、ということでモバイル ファーストなインデックスにシフトしていくという流れ。

上記の経緯を考えたら、個人的にはalternate/canonicalも正規化する対象もひっくり返して良さそうに思えるが、その仕様変更は影響が大きすぎて不可能か。

Q

私が知りたいことが、ここに書いてない

A

Google 長山さんやGary Illyesさんが親切に質問を受け付けていますので、直接聞いてみるとよいでしょう。あるいは定期的にウェブマスター向けのHangoutsが開催されているので、そこに質問することをお勧めします。

(執筆:株式会社アイレップ SEM総合研究所 所長 渡辺隆広)

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