「SEOとの向き合い方」では、これからSEOに取り組もうとする皆さんにキチンと頭に入れておいていただきたい、基本的な考え方について説明をしていきます。「そんなことより具体的なテクニックを知りたいんだ!」という方も少なくないでしょう。しかし、どんなに切れる包丁を渡されても包丁の基本的な扱い方を知らなければ野菜や魚を上手に切れないように、どんなに素敵なSEOテクニックを学んでもそのSEOの基本的な考え方を知らなければその知識は上手に生かすことはできません。「結局、SEOって何するものなの?」 - そんなSEOへの取り組む姿勢、考え方を今回はぜひ学んで下さい。

「人」と「検索エンジン」を意識したWebサイト作りを

常に皆さんに意識してほしいことはたった1つ、シンプルです。「Webサイトを作る時には、『人』と『検索エンジン』の2種類の訪問者に情報が伝わるようにすること」です。皆さんが作ったWebサイトを、人が見て内容を理解できるだけでなく、検索エンジンというロボット(ソフトウェア)が読んでも内容を理解できるようにしてくださいね、ということです。これだけの説明ではさっぱり意味がわからないでしょうから、深く突っ込んで説明してみます。

Webサイトを作成する皆さんは、知人、友人、商売をしている人であればお客さんなど、「人間」にサイトを訪問して、見てもらうために作成しているはずです。人に見せることを前提としていないサイトを作る人というのはいないでしょう。ところで、人に見せるWebサイトというのは、言葉を換えると「ブラウザを通じて、どのようにサイトを見せるか」ということです。パソコンやPDA、携帯電話などいずれのデバイスを通じてサイトを見る時、Internet Explorerのような何らかのブラウザを通じてサイトを閲覧することになりますから、そのブラウザでどのように表示されるのかを意識して作成するわけです。

実際に皆さんがWebサイトを作る時にはHTMLタグを用いるわけですが、一般の訪問者はブラウザを通じて閲覧するのでタグを実際に目にすることはありませんし、作成者である皆さんがそれを意識することもないでしょう。ですから、HTMLタグの扱い方が文法的に正しくても間違っていたとしても”ブラウザで見た時に自分が意図した通りに表示されていさえすれば”気にすることは決してないでしょう。

以上のように「ブラウザを通じてどう見えるか?」を意識することは、特にデザイナーにとっては当然のことですから、「うん、そうだよね」と思う方が多いものです。ところが、Googleのようなロボット型検索エンジンの登場と、その影響力が無視できないほど大きくなってきた今日、ブラウザでどう見えるかだけを捉える考え方は正しくなくなってきたわけです。

ロボット型検索エンジンとは、クローラ(スパイダーともいいます)と呼ばれるWebページ自動収集ロボットがインターネットを巡回して皆さんのWebを収集します。 収集したものを評価、ランク付けして検索結果に表示しています。Googleで検索した時の検索結果の表示順序は「キーワードにもっとも関連性が高いページ」の順番に並べられています。ところで、この「評価」や「順位付け」を行っているのは誰かというとGoogleで働いている人々ではなくて、Google社が開発した検索アルゴリズムと呼ばれるとっても複雑なプログラムです。つまり、人じゃなくてロボット(ソフトウェア)です。つまり、皆さんが作成したWebページがどれだけ特定のキーワードと関係しているかを判断するのも人ではなくロボットなのです。

『ロボットが皆さんのWebページを読み、評価している』。ここが重要なポイントです。なぜなら、ロボットは皆さんのWebページを、ブラウザを通じて見るのではなく、皆さんが書いたHTMLソースコード、タグそのものを読んでページの内容を理解しようとしているのです。ブラウザで開いた時にどう見えるかはロボットには一切関係ありません。

皆さんが作成したページを、訪問者はブラウザを通じて理解しようとして、ロボットはそのHTMLコードを通じて理解しようとする。人とロボットはこのように、皆さんが作成した同じページにアクセスしてくるものの解釈する方法が異なっているのです。この両者の違いを認識した上で、「人が見ても、ロボットが見ても、同じようにページの情報を伝達することができるか否か」が、SEOがうまく機能するか機能しないかの分かれ道になります。

残念ながら世の中の多くの人は、SEOというものが何かWebサイトに特別な仕掛けや工夫を施さなければ決して成しえないとても高度なテクニックを要するもの、という認識を持っているようです。しかし決してSEOはそういうものではありません。単に、作成したページをロボットが見ても理解できるようにしてあげるだけに過ぎません。実はそんなに難しいことではないのです。皆さんが情報の論理構造上「見出し」になる部分をHTMLタグ上でも<h1>や<h2>で囲ってあげる、論理構造上「段落、文章」になる部分を<p>~</p>で囲ってあげる、というきわめて基本的なことを行えばよいわけのお話なのです。ところが「なにか特別なテクニックがなければSEOなんてできない」という誤った認識を持っているから、たとえばキーワードの使用回数はいくつにするとか、タイトルタグ(<title>タグ)には狙ったキーワードを何回どこに入れるべきかを考えるような、SEOの専門家から見れば「きわめてどうでもいいお話」を一生懸命考えてしまっているのです。

では「ロボットが見ても人が見ても理解できるページ」とはどんなページか、具体的な例を挙げて説明します。ここで例として「コニカミノルタ」と「ツヴァイ」のサイトを取り上げてみます。

ツヴァイ
http://www.zwei.com/zwei/menuf.html

コニカミノルタ
http://konicaminolta.jp/

まず上2つのサイトを普通にブラウザで見てください。次に、各々のURLについて、Googleから「テキストのみのキャッシュ」を使ってみてみましょう。

ツヴァイ(テキストのみのキャッシュ)
http://72.14.235.104/search?q=cache:Vmsw0bBUVhkJ:zwei.com/+http://zwei.com/zwei/menuf.html&hl=ja&ie=UTF-8&inlang=ja&strip=1

コニカミノルタ(テキストのみのキャッシュ)
http://72.14.235.104/search?q=cache:DhtoB7bSXZcJ:konicaminolta.jp/+http://konicaminolta.jp/&hl=ja&ie=UTF-8&inlang=ja&strip=1

Googleの「テキストのみのキャッシュ」というのは、Googleに保存されているページをテキストのみで表示するものです。これはGoogleでキャッシュを表示させた時の画面最上部にある説明文を読んでいくと、「テキストのみのキャッシュページを参照する場合はここ をクリックしてください」という記述があるのでそれをクリックすることで閲覧できます。

さて、テキストのみのキャッシュはどうなっているでしょうか。テキストのみの表示とはいえ、情報が論理的に整理されており、人が見ても見出し、文章、箇条書きがそれぞれどこにあるか一目瞭然です。ぜひ他のサイトで同じようにテキストのみのキャッシュを表示させてみて下さい。たいていのサイトは上記のようにきれいにはならないはずです。一方で、たいていのブログサイトは上記のようにきれいに整理されて表示されるでしょう。

◆参考◆
私のブログを「テキストのみのキャッシュ」で表示させて見て下さい
http://www.sem-research.jp/sem/

ツヴァイやコニカミノルタのほか、多くのブログサイトでテキストのみのキャッシュで表示させるときれいに情報が整理されるのは、HTMLタグとスタイルシート(CSS)を使い分けていることに理由があります。これらのサイトは、情報の論理構造はHTMLタグを利用して記述して、ブラウザを通じてどう見えるかは全てスタイルシートを用いて制御しているのです。こうすると、ロボットに対してはページに記述した各々の情報の論理的な意味がきちんと伝わるようになります。論理的な意味が伝わるというのは、見出し、文章、箇条書き、リンクといった個別の情報がロボットに理解されることを表します。そういった単純なことさえできれば、SEOはほとんどできたも同然です。

ブログを使うとSEOが簡単にできる、というお話を聞いたことがある人がいるかも知れませんが、これはブログを使うと(HTMLタグの知識が全くない人間でも)自然と論理構造がはっきりとしたページを生成できるから結果的に検索エンジンに上位表示されやすくなる、ということです。つまりブログを使わなくてもHTMLタグの論理構造をはっきりさせればSEOは簡単にできる、ということです。

いいかえれば、HTMLの論理構造さえはっきりさせておけば、デザイン的にも優れ検索エンジンにも最適化されたサイトを作ることができるということです。この「論理構造をはっきりさせる」という要素が「ロボットにもページの情報を適切に伝えるための条件」になります。

ここで話を最初に戻します。「Webサイトを作る時には、『人』と『検索エンジン』の2種類の訪問者に情報が伝わるようにすること」と書きましたが、つまり「HTMLの論理構造をはっきりさせて検索エンジン(=ロボット)に情報が伝わるように、スタイルシートを用いて(ブラウザを頼りに理解する)人に情報が伝わるようにする」ということになります。スタイルシートがまだ使えない人の場合は「HTMLタグを使ってページ情報の論理構造をはっきりさせる」と読みかえていただいても結構です。ともかく、ページを作るときには常に「検索エンジンにもこのページの内容を理解してもらう」ことを意識するようにして下さい。この意識さえあれば、SEOにおいて巷にあふれるテクニックの中から、全く不要なものと取り入れたほうがよいものの選別も可能になりますし、すでにSEOに取り組んでいる人はもっと効率よく、デザインやユーザビリティと検索エンジン対策を両立させたサイトが作れるようになるはずです。

渡辺 隆広 (わたなべ たかひろ) 株式会社アイレップ SEM総合研究所 所長

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