検索エンジン相関図 2009年7月版です。
検索連動型広告の掲載パートナーや、検索エンジンの主要な提携先等をまとめています。
主な動き
今年2回目の検索エンジン相関図です。直近3ヶ月の間で検索業界は大きな動きがありましたので、総括します。
まずAsk.jp。2004年8月にベータ版開始、翌年2月に正式日本語版サービスを開始して本格的に日本市場に参入しました。当初は答えをずばり検索結果に表示する「一発検索」の拡充による利便性の向上、TV CM放映やディズニーサイトへの検索窓設置によるユーザ数拡大、ネットマイルと提携して検索するたびにマイルを貯められるインセンティブの提供など、Yahoo!やGoogleから検索シェアを奪うための様々な施策を行いました。しかし検索エンジンを乗り換える、あるいは併用するための動機付けをするには十分ではなく、日本のユーザの心をつかむことはできませんでした。結果、本年6月25日でのサービス終了・撤退となっています。検索サービスを提供する上では、インデックスのサイズや検索品質はもちろん重要ですが、それだけ整っていても、ただの検索サービスである限り、日常的に利用して使い慣れたサービスを乗り換える理由にはならないということを示しています。
ちなみに日本市場から撤退した米Ask.comですが、日本語サービスを終了したわけではありません。Ask.comで日本語キーワードで検索するとそれなりの品質の日本語サイトの検索結果が表示されるようになっています。
次に2009年6月に正式リリースされた、マイクロソフトの検索エンジン「Bing」(ビング)。ディシジョン・エンジン(Decision Engine、意思決定エンジン)と名づけられたこのサービス、特に「ショッピング」「健康」「地域情報」「旅行」の4分野にフォーカスして、GoogleやYahoo!よりも、少なくクリック数・検索時間で検索タスクを遂行できることを目指した設計となっています。
きっとYahoo!やGoogleを利用しているユーザは今の検索サービスでそれなりに満足しているはず、しかしその検索行動を分析してみると、実は数多くの「ムダ」が積み重なっています。それを解決して、単にユーザが意思決定をするための候補リンクを出すのではなく、意思決定そのものを行えるようにしている、それがBingです。
たとえば「nikon digital camera」と検索すると、単に商品ページへのリンクを返すのではなく、ニコンのデジカメ商品写真とそのレビュー、さらにキャッシュバックが得られる(Bing cashbackと連携)サイトへのリンクを提示することで、Bing上でどのデジカメを購入して、どこで購入するのがお得なのかの提示までしてくれます。また、米国内であれば出発空港と目的地を指定すると、その区間の航空券の情報だけでなく、いま購入すべきか、それとも待ったほうが安く変えるのかまで、過去の航空チケット価格変動情報を元に教えてくれます。
リリース直後もポジティブな反応が比較的多かったBingですが、米Hitwise調査によると5月の検索シェアが 5.64% (search.msn.com と www.live.comの合算)に対し、6月は5.25%と微減。ただ、別の調査会社のデータでは「まだBingを試している段階」という見方もあり、今後BingがどこまでGoogleからシェアを奪えるか注目です。
最後に7月1日に一般公開を開始した、NAVER。韓国最大手の検索エンジンで、2005年に一度日本市場から撤退したのですが、その後、再上陸の準備を進め、ついに今年に入り検索サービスを立ち上げました。
「探しあう検索」をコンセプトに登場したNAVERは、検索とコミュニティを融合して、従来の検索エンジンにない検索体験の提供を試みています。ユーザ同士でおすすめのページや写真を紹介したり、ある話題について意見を交換したりする場を検索サービス上に展開することで、検索目的を達成する過程で気づきやきっかけをなど新しい発見ができる機会を生み出そうとしています。。例えば、「大崎 ランチ」と検索すると、大崎周辺でおすすめのランチ情報が表示されるといった具合です。従来の検索エンジンなら、大崎周辺でランチができる場所を単にリンクで表示するだけですが、NAVERはユーザが選んだおすすめのランチ情報をまとめたページを出してくれるので、どこでランチしようか選びやすいはずです。
以上、Ask.jpが撤退し、NAVERが再上陸、マイクロソフトがBingに衣替えと大きな動きがあった日本の検索市場ですが、今後、BingとNAVERは日本市場で戦えるのか、が注目です。Bing日本語版はまだ中身はLive Searchのままなので、米国同様に新しい機能を搭載してからが勝負。NAVERは、まずGoogleやYahoo!に慣れきっているユーザに試してもらう機会を多く増やすことが必要です。その上で、特徴の1つである「まとめページ」の便利さを理解してもらうこと、ユーザにそれへの関与を積極的に行わせることの仕掛けづくりも必要でしょう。検索は情報を探すためのツールであって、そこでコンテンツを創り出す場ではないという人も多いはずで、NAVERは単なる検索サービスじゃない、検索できるけれども、ユーザの知識や意見も探せる、GoogleやYahoo!とは一味違った情報まで探せる検索サービスであると理解してもらうことが求められるでしょう。
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(この記事の内容は2009年7月1日現在の情報となります。)
株式会社アイレップ 取締役CSO SEM総合研究所所長 渡辺隆広


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